キセキの始まり

□1Q
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早朝、自宅で教科書を鞄に詰めていた、誠凛高校一年、常盤芒はファイルから落ちた一枚のプリントを拾い上げた。
 
そこに記載されているのは校内で開催される、“とある行事”の詳細。


「あ・・・・・・。先輩達にあの人のこと認めさせる方法があった!!」
 

そのプリントをファイルにいれ、鞄に詰め込むと芒は意気揚々と家を出た。
 
人目、特に女性の視線を惹きつける整った中性的な顔には至極御満悦な表情が浮かんでいた。






























「お、はよー。火神!」
 

バシンっ。
 
登校中、思いっきり背中を叩かれた長身・緋色の髪の少年は軽く頬を引きつらせながら振り返った。


「痛ってぇな!ふつうに挨拶しろよ、常盤」

「ふつーだと、つまんねーじゃん」

「てっめぇ・・・」
 

怒りで拳を奮わせる火神に、芒はからりと笑う。

「てか、今日だな。本入部届、受け付けんの」

「ん、おぉ。お前も?」

「うん。書いてきた。何で、屋上なんだろーなー」

「さぁ?てか、早く試合してーんだけど」
 

バスケ馬鹿一色の火神に芒は思わず噴出しそうになった。

しかし、以前男子の一年と二年で行ったゲームを見て、火神のバスケスタイルに圧倒されたため、バスケに対する姿勢までからかうのはやめたのだった。

それに、火神と芒は同じPF。同じポジションであれば、お互い学べることも多い。

そのため、芒はクラスは違えど、火神と親睦を深めようとしていた。


「僕も早く出たいけど、女子少ないから練習でゲームはできねぇんだよなぁ」

「男子とやればいいんじゃねーか」
 

至極当然だ、というように即答した火神に芒は困ったように笑う。


「男女の力の差、結構あるんだぜ」

「そーだけどよ・・・」

「それに、男子の方は10人以上いるし、力がある奴ら同士でゲームした方が有意義な部活になる」
 

それは真理に近いかもしれない。男女では身体のつくりが大分異なる。
 
だけど、そのことを除いても、芒の言葉は異様に悲観的すぎる。

普段の陽気な彼女しか知らない火神はそう感じた。
 
あまり女子バスケ部の二年生との親交をもたない火神はここ数日で得た情報の中で該当するものを口にした。
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