The cruel game of heart

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黒い異物。


それは決して、この世界に相容れない。



なぜなら、異物であるから。
 



異物は侵食するのみ。

大罪を犯して。

赤色を侵して。

依存を冒して。

今を措かして。



ただ、存在するだけが違反。



そのことを熟知していながら愚者である異物は舞台に駆け上がる。


幕開けとともに異物は舞う。


それはその舞台の配色にそぐわない黒の映える舞。



しかし、その異色さはより異物の魅力を引き立てる。



観客は盛大な拍手を送る。

その演技が台本にないことを知らずに。


役者は感嘆する。

その演技が台本にないことを知りながら。


異物は狂喜する。

目的のための第一歩を踏み出せたことに。
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