The cruel game of heart

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【余所者は預かった。取引がしたい。単身で、観覧車の赤いゴンドラに乗れ】


「ふざけた真似を……!」
 

客の波により、アリスと引き離されたビバルディは指定された場所へと向かっていた。
 

アリスと離れて間もなく、人の波の中で懐に忍ばされた紙。
 

その内容に腹を立てたが、唯一といってもいい友人のために動く自分を客観的に観ると、彼女の苦笑が零れた。


「まさか、ハートの女王ともあろう妾が一人の小娘のために動くとは……」
 

自嘲気味に呟くと、観覧車の真下に到着した。


「お待ちしておりました。女王陛下」
 

スーツ姿の男が一人ゴンドラへの入り口に立っていた。


「ボスがお待ちです」
 

そう、男が示す赤いゴンドラには黒い人影があった。
 

黒い帽子を深く被り、コートをまとった人物。
 

それをこの男はボスと呼ぶ。


「アリスはどこじゃ?」


「ボスとの商談の結果次第で、決めさせてもらいます。おっと、私を殺しても、仲間が貴女の大事な余所者を殺しますよ?」


「無粋な……」


「何とでも。さぁ、お乗りください」


男が扉を開け、女王を招く。
 

取り出した銃を再びしまったビバルディは舌打ちをして、ゴンドラに乗った。


「では」
 

一礼し、男は扉を閉めた。
 

ゴンドラは動き出したが、ボスと呼ばれた男は微動だにしない。


「領土のことか、それともホワイトか、エースのことか?」
 

ビバルディの問いに答えないコートの人物。
 

腹立たしげにビバルディは向かい側に座るその人物の帽子を剥ぎ取った。


「なんとか言っ……!」
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