The cruel game of heart
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侯爵おすすめの新アトラクション館内。
爆発が起きたにもかかわらず、館内の損傷は少なく、いくつもの滑車がレールの上を走っていた。
「余所者を捕らえていたはずのB班の応答がありません」
森を見立てたエリアに地上から5メートルは上にあり、一つの滑車があった。
そこには二人の男が乗っており、一人はトランシーバーを片手に連絡をとっており、 もう一人は葉巻をくわえながら、連絡担当者に目をやった。
「侯爵と女王は?」
「はい。ただいま侯爵はシュレンジャーのガキ共と交戦中。女王は我々の出した案内状どおり、指定した場所へと向かっております」
「そうか。他の役持ちの介入は?」
「はい。どの役持ちも園内では確認されておりません」
「なら、館内の奴らを全員北側のエリアに向かわせろ。役持ちでないいじょう、遊園地の従業員あたりだろう。人質が人質として機能するのなら、多少傷物にしても構わない」
「了解しました」
部下であろう男は全員にその旨を伝えながら、滑車のレバーを操った。
行き先は北側のエリア。
人質がいたはずの場所。
徐行で動いていた滑車はやや速度を上げ、目的地へと向かう。
先ほど指示を出した上司らしき中年の男はふぅ、と煙を吐き出した。
煙は遠心力に従い、走行方向とは逆に流れていく。
その白煙を眺めながら、男は木々の緑の中に青い何かを見つけた。
それはアトラクションの出口へと着実に進んでいる。