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□クリスマス
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行き交う人達はカップルや家族ばかり。この街もクリスマスモード一色で辺りは色とりどりのイルミネーションと赤い玉や天使、金色のベル等が飾られた豪華なツリーがあちこちにおいてあり何処からともなく毎年恒例のクリスマスソングが流れそれと共にケーキを売るために呼び込みをする店員の声も聞こえる
「すみませんっ!!…あの大丈夫ですか」
「…はいっ…俺こそごめんなさい…慌てて」
志摩は子連れの夫婦とぶつかってしまった。あいにく子供にはなんともないがこちらが咄嗟に避けたために尻餅をついてしまった。それを見た子供の母が心配して声をかけたのだ
志摩はすぐにその母の言葉を否定し自分も悪かったのだと謝り頭を下げればまた走り出す
「やばっ!?…間に合わないんちゃうか…」
時計を見れば時刻は既に7時30分を過ぎている
息を切れ切れにしながらとある場所に急ぐ志摩。
「…着いた…はぁ…はぁ」
志摩がついた場所はとあるゲーム屋。今日新発売のゲームがあり、かなりの人気のためになかなか手に入らず此処で9件目だったりする
「あった…」
目的のゲームを見つけ最後の一つらしく志摩はそれを手に取った
「よかった…これで燐君のクリスマスプレゼントが買えたわ」
お会計を済ませ可愛くラッピングをされたゲームソフトを見て志摩は微笑む
燐と志摩が付き合い始めて二ヶ月、二人にとっては初めてのクリスマスなのだ。そして記念すべき最初のクリスマスに燐が前から欲しがっていたゲームソフトを買う事になったのだ
志摩はそれを買うためにバイトを始めて週3回働き稼いだお金
「…燐君にブレスレットやネックレスは似合わへんよね…」
志摩は最初、シルバーのブレスレットやネックレス等もいいと思ったが燐には似合わないし自分のセンスが問われる
だから、二人で盛り上がれるゲームを選んだのだ。
「…あそこにいるのって坊やろか…」
サンタクロースの格好をした坊はケーキ屋の前ででかい看板を持ち立っている
「ん?…志摩かどないしたんや?今日は奥村とクリスマスパーティーじゃなかったのか?」
「あっ…燐君のプレゼント買ってたんや」
「へぇー…あっちょっと待ってや」
と坊は志摩を待たせ一旦看板をにぎりしめたまま店のなかに入っていきしばらくしてケーキのたくさん入った白い箱を片手に出てくれば志摩に差し出した
「店の売れ残りや!奥村と食べや」
「ええの?おおきに!!坊、メリークリスマス」
「志摩もメリークリスマス」
「じゃぁ俺行くな!また学校でな」
「あぁ…」
坊と別れてはケーキとプレゼントを持ち燐が待つマンションへと急ぐ。息を切らしながら階段を上がり奥村と書かれたプレートのドアが目に映る。志摩はインターホンを押した
ピンポーン ピンポーン
「あれっ?留守なんやろうか…」
志摩がゆっくりとドアノブを握り引いた。すると鍵が開いていたのかかちゃりとドアが開いた
「…燐君?…」
志摩は不思議に思いながらも恐る恐る暗い部屋の中に入っていく。
パ-ンッ!!とクラッカーの音と共に電気がつき目の前には笑みの浮かべクラッカーをもった燐がいた
「メリークリスマス!志摩」
「……燐君…びっくりしたわぁ…メリークリスマス」
「つか、おせーよ!ずっと待ってたんだからよ」
「あー堪忍や…ちょっといろいろあって…あとこれ坊からケーキもろうたから後で食べよや」
「おーサンキュー…飯食い終わったら食うか」
「うん」
燐は志摩からケーキを受け取れば冷蔵庫へと仕舞う。
「志摩!」
「どうしたんや燐…君?」
いきなり手をを引っ張られ抱きしめられるも目の前にはすぐ燐の顔があり
ドキドキと心臓の鼓動が高鳴る。
「志摩…」
「燐君…」
ゆっくりと燐の顔が近づいて来て志摩は頬を真っ赤に染めながら目をつぶる
柔らかい燐の唇と志摩の唇が重なり軽いものからだんだんと深くなりより一層に抱きしめる強さが強くなる
「んっ…ふぅ…」
「志摩…すんげーエロい」
頬を真っ赤に染める志摩を見てはニヤリッと笑う燐。そんな燐を見てまた更に頬を赤くする
「なぁ志摩…来年もまた一緒にクリスマス過ごそうな」
「うん…俺も燐君と過ごしたい…」
にっこりと笑う二人はまた強く抱きしめ合えば再びキスをした
「「燐君/志摩メリークリスマス」」
(そういえば俺、燐君にクリスマスプレゼントあるんですわ…はいこれ…プレゼントや)
(これって…俺の欲しかった限定版のゲームじゃねぇか!!めっちゃうれしい)
(燐君に喜んでもうて俺もうれしいですわ)
(俺もお前にクリスマスプレゼントがあるんだけどよ…ほら)
(これって…チケット?)
(ネズミーランドチケットだ、一緒に行こうな)
(…うん…燐君ホンマにイケメンや///)
【皆さんハッピークリスマス^^】