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□真夜中の訪問者
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かちゃりと鍵がはずれギィっという音と共に窓が開いた。ふわりとペパーミントの香りが風と共に鼻をくすぐる


その香りと音に志摩はふと目を覚ました。

そして、月明かりだけが差し込む暗い部屋に少しだけ開いた窓を見つめる。さて、窓を開けて寝ていただろうか?…いや開けて寝た覚えはない……しかし、風もあまり強くもないのに独りでにドアは開くわけもない…


「柔兄やろか…」


いや、柔兄がそんな暑くもないのにわざわざ窓を開ける事なんてない…
それに微かに鼻を通ったあのペパーミントの香りあれは柔兄の匂いではなかった


「まさかっ……っぶ!?」

嫌な予感がして窓から目線を変えようと振り替えればいきなり押し倒され視界が反転する


「やっと見つけました」


ほら…やっぱり…


聞き慣れた声にため息をついた。薄暗い部屋に月の光りで微かに照らされるのは緑髪の「地の王」アマイモンという悪魔。

彼は以前に奥村燐とやり合った。その時、何故か偶然その場にいた自分を気に入ったらしくそれからずっと自分の後を追いつけまわしている

最初はものすごく怖かった。抵抗をしたら殺されてしまうのではなかいかとビクビクだったが慣れとは恐ろしい物で最近では恐さよりも『またか』という飽きれてしまう方が勝っている


「アマイモンさん…なんのようですか?」


「兄上にハッカ飴をもらいました。クソマズイ飴でした。なので口直しに貴方を探していたのですよ志摩廉造」


「…はぁ…んぐっ!?」


返答も許されぬままに口に飴を入れられる。口の中には甘酸っぱいレモンの味が広がった


「レモンです。…では、いただきます」


ゆっくりとアマイモンの唇と志摩の唇が重なり合う。アマイモンの舌が飴と一緒に志摩の舌を絡めとられる


「んぅ…っ…ふぁ…」


ぴちゃぴちゃと厭らしい音をたてながら志摩の口にある飴を堪能していくアマイモン
だんだんと息も苦しくなっていき涙目になり限界に近づくとアマイモンは十分に堪能したのか長い口づけを終えた


「…はぁ…はぁっ…」


「ごちそうさまです志摩廉造」


やっと解放されいきなり入ってきた酸素に咳き込むも力が抜けたかのように肩を上下に震わせて空気を吸い込む


「…廉造…」


「ん…アマイモンさん…」


アマイモンは志摩を抱きしめた。それも壊れ物を扱うかのように優しく優しく志摩を抱きしめ志摩の頭を優しく撫でる


「兄上から教えられました。こうすれば女性は喜ぶと…だから熊のぬいぐるみでたくさん練習しました」


「…そうなんですか…」


志摩の頭の中にはアマイモンによって無残にもボロボロになった熊の人形達の光景が頭に過ぎった


「嬉しいですか?志摩廉造」


「…えっ?…あっ…嬉しいですよ!アマイモンさん」


アマイモンの言葉で我に変えればアマイモンに慌てて返答を返す志摩

「志摩廉造」


「なんですか?」


「眠いです。寝るので隣に寝ます」


「え?…あっ…ちょ…」


無理矢理に布団に寝て来るアマイモン。いきなりの事に対応出来ずにあたふたするもアマイモンの寝息が聞こえて来れば志摩はアマイモンの寝顔をまじまじと見た


「…アマイモンさんの寝顔なんて初めてやな…」


自然とアマイモンの寝顔に笑顔がこぼれる。そして志摩はアマイモンの寝顔を見ているうちに眠くなりそのまま睡魔に身を託したのだった


「おーい…廉造、朝やで〜はよう起きや」


柔兄の声で目が覚めた。ふと隣を見てみればアマイモンの姿はなく代わりに置いてあったのはイチゴの棒付きキャンディー


「…アマイモンさん…」


志摩はアマイモンが置いていったキャンディーを取ればポツリと呟いた


また夜、アマイモンは来るだろうか


ふと過ぎった期待と不安


「余程、俺も依存してるみたいやな…」



志摩はいつの間にか考えてしまうアマイモンの事に苦笑いをしてはキャンディーを口にいれて開けっ放しの窓をゆっくりと見つめた





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