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あれから一週間、奥村君は遊郭には来なかった。多分前に言っていた御両親の揉め事がまだ解決していないのかもしれない
ガラガラといきなり開かれた扉
うちはその音に気づき扉の方にに目を向けた。
そこにいたのは…
「はじめまして…君が志摩廉造さんかな?」
見知らぬ眼鏡をかけた優男だった。
「えっ…あっ…いらっしゃいませ…えっと、お客様は初めてですよね?」
「いいんですよ…そんなに畏まらなくて…僕は奥村雪男っていいます。奥村燐の弟です」
「奥村君の弟さん!?…」
うちが驚く姿に雪男さんは怖いぐらいにニッコリと笑みを浮かべていてうちの背中には嫌な寒気が走った
「それで…雪男さんは何しに此処にいらしたんですの?」
「お客様に対して何しに来たはないと思うよ?…でも兄さんにいろいろと僕たちの悪口は言われたみたいだから警戒するのは当たり前の反応だけどね」
眼鏡レンズの奥が鋭く光った。その醸し出すオーラにうちはこの人に反抗したらヤバいとそう思った。
「それで今日僕が来た理由は…」
なかなか、返答しない自分に痺れを切らしたのか雪男さんは口を開き話を続けた
「君を買い取りに来たんだ。志摩廉造さん?」
「はぁ?何故にうちを…」
「手続きはもう済ませてあります。理由?それは兄さんの恋相手だからですよ」
またニッコリと笑う貼付けたような笑顔の雪男さん。その笑顔にはハッキリと罠と書かれてあった
「嫌です!うちはあんたに買われとうございません…帰ってください」
「はははっ…やっぱり断られるのはわかってました…けれど、僕はあなたを倍以上の金で買いました。だからあなたに拒否権はないんですよ」
拒否するうちの腕を無理矢理に掴みそのまま力任せにと床へと押し倒された。
「あなたは兄さんをおびき寄せる餌に調度いいんです」
さっきとは違う顔。猛獣のような眼差し、なにもかもが彼に見透かされているような気がして見つめられたうちは抵抗、指一本動かす事すら出来ず一人凍りついていたのだった
【雪男の扱いが酷いですね…(ノ_・。)雪男ファンの方すみません…】