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カチャリと鍵が開いた。ふと時計を見ればもうそろそろ彼がくる時間
志摩は笑みを浮かべてはゆっくりと開いていく扉の方へと目線を向けた



「奥村君…待ってたで」


「よぉ志摩!」

手をあげて入ってくる燐。気のせいだろうか今日の奥村君は機嫌が悪いような気がした


「奥村君?…」

「ん?なんだ志摩」

「今日…なにかあったん?…その…なんだか機嫌がよくないように見えるんやけど…」

「えっ…あぁ…ちょっといろいろあってな」


やっぱりばれたかと志摩に苦笑いをしては”はぁっ…”とため息をつく燐


「今日何があったんですか?」

「今日さ、俺を悪魔の回しもんだって言って俺を家から追い出した奴らが…今更、跡継ぎに仕事場にまで押しかけてきたんだよ…しかも、仕事場の奴ら全員に俺の事を聞いて回ったみたいなんだよ…」

「…奥村君…」


そんな事があったなんて…うちは奥村君の手を握って奥村君を見つめた。そんなうちを見て奥村君はまたため息を一つついてごめんと謝った


「ごめん…俺…さっきから愚痴ばっかで…」

「ううん…ええよ奥村君、うち奥村君の愚痴聞けて嬉しいで」

謝る奥村君に笑みを浮かべてそう言えば奥村君は笑みを浮かべてうちを抱きしめてきた


「志摩…ありがとう…俺の味方はお前だけだ」

「奥村君……」


その時の奥村君の言葉があまりにも悲しく聞こえてうちはそれ以上言葉が続かなかった。




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