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午前の授業が終わるチャイムが鳴り響き昼休みになった頃。今までぐーすかと涎を垂らしながら寝ていた志摩も起き出してお弁当を片手に幼なじみでもある勝呂達の方へと駆け寄る
「志摩さんはお弁当の時だけは本当に早いんやね」
「その行動力、勉強にまわしたらどうや?」
「やって…あないな暗号みたいな文字読んだら誰だって寝るに決まっとります」
感心したかのように言う子猫丸と勝呂に『えっへん』とでも言いたそうな志摩。そんな志摩に勝呂はこれ以上言う言葉も見当たらないのかため息をつけばそのまま教室を出ようとした時だった
ドンッと鈍い音が響き志摩らは目を向ければそこには勝呂と誰かが正面衝突をしお互い尻餅をついた光景が目に映った
「坊!大丈夫ですか?」
子猫丸が慌てて勝呂の方へと駆け寄り志摩も駆け寄ろうとした時、勝呂の影になってわからなかったがいかにも見覚えのある身なりの人物が目にはいった
「奥村君?…やないの…」
志摩の言葉に「はっ?」と首を傾げたまま勝呂と子猫丸の目線は志摩の方へと集中する。
「廉造…めっちゃ探したんだからな…馬鹿廉造!!」
と志摩の言葉に反応をする。やはり燐だったのかぶつかった勝呂など見向きもせずに立ち上がれば軽く埃を払い落とし志摩に抱き着こうとする燐
「ちちょおぉ待ってや!…家で大人しくしとる約束やったやろ!」
「最初は大人しくしてようと努力はした!けどよ…お前いないし、テレビは面白くないし…つまんねぇからお前を探してた」
大分なれたのか、抱き着こうとする燐を華麗に避けながら志摩はやれやれと頭をかかえた。
「避けるなよ!今すぐ俺に抱かれろ…せっかく俺が来てやったのによ」
「言葉が卑猥に聞こえてるで…それに誰も頼んでないから」
「ちょっと待てや!!」
いきなり二人の間に入ってきた勝呂。そんな勝呂は燐の前に立ち物凄い険悪な顔で燐を睨んだ
「誰だよ?お前」
「お前こそ人にぶつかって無視するやなんてどういう事や…それにお前部外者やろ!易々と人の教室入ってきたら困るんや、さっさと帰ってくれや」
「ちょっ…坊…」
「志摩は黙っとき」
志摩は燐と勝呂の間に入り止めようとするも勝呂は何時もの様子とは違い冷たく志摩を見ればそう言った
「でもっ…」
「あぁ…廉造はどいてろ…俺もこのトサカ野郎が気に食わねぇ…」
燐は志摩の腕を掴めば自分の方へとぐいっと引っ張った
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