Book

□間接キスよりも…ほろ苦いキスを
1ページ/1ページ





恋人になったばかりの俺らはまだ未熟で触れるだけのキスをしたこともなかった。







今日は俺達が恋人同士になってから10回目のデート。最初は恥ずかしく手を繋げれなかった俺達もやっと繋げれるようになり抱き合う事まで出来た






「坊ー!」


柔らかな声で呼ばれ目線を向ければ目に映ったのは愛おしい恋人の姿
最近は少し寒くなったために彼女は暖かい格好をするようになった




「廉造今日も可愛ええで」




「嫌やわぁ…坊ったら坊の格好もカッコエエですよ」




傍から見ればただのバカップルだがこんな会話もつい、この間まで出来なかったのだ

しかしデートを繰り返す度に二人は少しずつ進歩はしていっている


臆病で気の使う坊と慎重過ぎて積極的になれない廉造




抱き合う事まで出来たがそれ以上は進めなかった



「寒いやろ?飲み物買ってきたる」



「うん!おおきに…」




公園のベンチに座り彼の帰りをまつ廉造…冷たい北風が頬を掠り頬を赤く染め上げる



辺りを見れば自分らのようなカップルがキスをしたり抱き合ったりしている



決して羨ましくないとは思わない…けれど…その先には進めなかった



「ほら、ココア買ってきたで」


不意に頬に熱を感じたと同時に彼の言葉にビクッと肩を震わせた



「おおきに…」


彼からココアを受け取れば蓋をあけ一口飲む。甘いココアが冷えた身体に染み渡る



「どうや?美味いか」




「ええ…とても…坊は何飲んではりますの?」




坊の手には何時ものとは違うメーカーの飲み物が握られていた




「これか?…新商品らしいんやけど…」




「一口貰うで」



ひょいと坊から飲み物を奪い取れば口をつけた。それはコーヒーらしく自分の苦手な苦い味が舌全体をうめつくした


「うえっ…にがっ!?」



「たりまえや!!…無糖やもん」



口を離せば口直しにココアを飲む。そのすきに坊が飲み物を取り返し一口飲んだ。その光景に嬉しくて笑みを浮かべた



「なに笑ってるんや?」



「…坊との初めての間接キスやなぁと思ってな」



「なっ!?…お前それだけの為に飲んだん?」



「うん…」



頬を真っ赤に染める坊に自然と自分も恥ずかしくなり頬に熱があつまる感覚がわかった



「…ほんまに可愛いやっちゃ…廉造は」



「…!?」



不意に唇に触れる柔らかいもの。それが坊の唇だと言う事を理解するのにあまり時間はかからなかった









初めての二人のキスはコーヒーの苦みとココアの甘さが混じったほろ苦い味だった
















〜間接キスよりも…ほろ苦いキスを〜









【衝突的に書きたくなったもんです…最近廉造君女体化多い…】

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ