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□人魚姫
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廉造がいきなり電話をし「会いたい」と言ってきた。俺はまた何かあったなと思えば廉造を家へと呼んだ


「どないしたんや廉造…」

「坊っ…!?」


会った途端に坊の胸で泣きじゃくる廉造。彼は勝呂竜士といい廉造の大親友で親が他界し兄貴と自分だけになった時も仲良くし、助けてくれたのも彼でもあった
性格は男らしく優しいくて頼りがいのある少年で廉造は彼を兄のように慕っていた


「…また燐の事か?」


「……」


廉造は無言で頷いた。
勝呂はそれにため息を漏らした。廉造は何度も燐の事で悩んでは勝呂に助けを求めたのだ。しかし何時もは苦笑いやちょっと困ったぐらいで決して泣いた事はなかった

しかし、廉造がここまで泣くとはよっぽどの事があったのだろう


「どないしたんや…」


「燐君な好きな人が出来たやて……それも人間のめっちゃ可愛ええこらしくてな…うっ…グスッ」


か細い声で言えば再び辛いのか泣き出す廉造。そんな廉造を優しく抱きしめてやり背中をぽんぽんと軽くたたいてやる


「…そりゃ辛かったなぁ…でも廉造…お前も勇気を出して告白しなあかんぞ」


「…坊に会う前に言うた…けど…あかんかったんや」


「…それホンマなん!?」



それは坊に会う数時間前の事だった
廉造は自分の気持ちに耐え切れなくなり燐を呼び出したのだ

「燐君…」


「どうしたんだよ…こんなとこに呼び出して…」


「あのな…うち…燐君の事が…す、す…好きやねん」


やっと伝えれた…この気持ち


「…いいぜ」


「えっ!?…ほんまなん!!」


「あぁ…俺の二番目の彼女にしてやるよ?…お前も最近可愛くなってきたしよ構わねぇけど…」

彼の言葉に有頂天になっていたが次の言葉に一気に崩れ落ち代わりに怒りがフツフツと湧き出てきた

「なんやのそれ……二番目って!!…うちは二番目の彼女でもいいとかそんな生半可な気持ちで燐君に告白したんやないのに!!…そんなもんになるくらいならフラれたほうがまだマシやわドアホ!!」


つい渇となってそのまま走り去った。そして今に至る訳なのだが坊の顔がさっきよりも険しくなっていた


「それほんまなんか…廉造」


「そう…やけど…」


「そんな男なんかやめてしまえ!!お前を不幸にするだけや」


坊の久しぶりに見た怒った顔。何時もなら呆れたような顔をする彼がこんな顔をするのは余程珍しい事だ


「…でも…うちは…」


「お前はそんなん言われても好きなんか?」


「うん……好きや…その時はすんごく腹が立って渇となってしまったけど今でも燐君を嫌いになれへん」


「そうか……」


ニコッと笑みを浮かべながら生き生きと話す廉造に坊はため息をついた

ほんまに廉造は燐の事が好きなんだと言う事が改めて実感した坊だったが彼はまだ燐を許してはいなかった

不器用や鈍感とはいえ長年自分を思い続けていた彼女に二番目ならいいなどとは到底許せはしなかった

それもましては自分の大親友の廉造にだ

坊ははらわたが煮え繰り返るような衝動に陥るも静かに目をつぶるのだった






















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