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□恐い夢を見た後は…
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外は激しい雨と風が吹き荒れる嵐の夜の事だった
俺は洗濯物を干し終わり家事も一段落をついてはそろそろ寝ようかと布団へと潜り込んだ
目を閉じれば真っ暗な視界と耳をすませば強い風と雷が聞こえる
「明日、動物園行けるやろか…」
明日は俺が仕事が休みのために廉造達と動物園へと出掛ける約束をしたのだ
しかし、明日までに晴れなければ中止になるだろう…
「廉造達の残念な顔見たくあらへんな…」
そう呟いては俺は寝返りをうちまた再び目を閉じた
それから、数時間が経った時だった。俺は足元に違和感を感じふと目を覚ました
恐る恐る布団を開けて見ればそこには愛しい弟達が互いにくっつきあって寝ていたのだ
俺はそんな微笑ましい二人の光景にだらし無い程に口元を緩ませながら見ていれば廉造がうっすらと目を開けた
「…柔兄…」
「…どないしたんや?廉造」
「…雷がゴロゴロ鳴ってんや…風やってすごい音してふいとるし…それに廉恐い夢みたんや」
「恐い夢?…どんなんや」
「あんな…風でお家が飛ばされてな…柔兄と金兄と離れ離れになって俺一人ぼっちになってしまう夢や…それで俺怖くなって」
だんだんと涙目になってくる廉造を俺はよしよしと抱きしめては優しく頭を撫でてやった
「大丈夫やで廉造…兄ちゃんなら此処におるさかい…どこにも行かへん」
その言葉に安心したのか泣き出しそうだった廉造はいつの間にか俺の腕の中で眠ってしまっていた
「柔兄ぃ…」
廉造を布団へと寝かせれば次に金造が起き出したのかそちらに目線を向けた
「金造はどないしたんや?」
「…柔兄も廉造もみんないなくなってしまう夢みたんや」
ぎゅうっと恐かったのか抱き着いてくる金造に俺はまたよしよしと抱きしめ背中を軽く叩いてやった
「金造…兄ちゃんも廉造も此処におるから安心して寝てもええよ」
金造もその言葉に安心をしたのか頷けば直ぐに寝息をたてて眠ってしまった
「ほんまに可愛ええ弟やな」
金造を廉造の隣に寝かせれば二人の寝顔を見つめ笑みを浮かべれば俺は再び布団へと潜り込むのだった
〜恐い夢を見た後は〜
(柔兄今日、一緒に寝よや)
(はぁ?今日、柔兄俺と寝るんだよ)
(なに言っとるんや金兄のドアホ!!)
(お兄ちゃんに向かってドアホってなんや!!)
(喧嘩やめぇや!!三人仲良く寝よや)
【ほのぼの志摩家。柔兄がこんなお兄ちゃんだったらいいなって思って書いてみました。なんやかんやで弟に甘い柔兄大好きです】