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□苺キャラメル
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俺はこの塾にきて一ヶ月。そこで俺は一目惚れをしてしまった
その相手はピンクの癖のある髪に京都弁の俺と同じ塾に通う男
そいつの名前は志摩廉造
「坊ーっ!」
今、俺の目の前で勝呂に恋人のようにべったりと抱き着いている奴だ
「なんや志摩?俺まだ宿題終わってへんから邪魔すんなや」
「ええですやん…宿題なんて…構ってや坊」
「あぁ…宿題終わってからな…ええからそこら辺で遊んでこいや」
あーぁ…なんなんだよこのバカップルは…人の気も知らないでいちゃつきやがって…と心の中で悪態をつきながら俺は志摩達のやり取りを見ていた
すると志摩は勝呂に煩いと追っ払られ口を尖らせ渋々と勝呂から離れて辺りをキョロキョロと見る志摩
そこら辺で遊べと行っても塾にいる奴は珍しくも俺と勝呂と志摩の三人だけでいつも一緒にいる子猫丸って奴はいないようだ。
俺はぼーっと志摩を横目に楽しくもない携帯を弄るふりをていれば、いきなり声をかけられた
「奥村君でええんでしたっけ?」
携帯から声のかけられた方へと目線を向ければそこには志摩の姿があった
「えっ…あぁ…」
えっ…俺、志摩に話し掛けられてんのか?
やべぇ近くで見れば見るほどすんげぇ可愛い過ぎる……今すぐ抱きしめてぇ…
「あのっ…奥村君大丈夫なん?息荒いし顔赤いで熱でもあるんとちゃうん」
「あぁ…悪ぃ…ちょっと考え事しててな」
「そうなん?…あっ…隣邪魔しますわ」
志摩が俺の横の席へと座った。その瞬間、フワッと苺の甘い匂いが鼻をくすぐった
「奥村君にもあげるわ…はい、苺キャラメルや」
差し出された志摩の手には白く薄い紙で包まれたピンク色の小さな固形物がのっていた
それがこの匂いの正体だったのか
「あぁサンキュー」
志摩からキャラメルを受け取ればそのまま口の中へとほうり込んだ。甘い苺の味が口いっぱいに拡がった
そのあとも俺らは話が弾み、他愛のない話をしては楽しんだ。しかし、俺は不意にずっと気になっていた疑問をとうとう志摩に投げかけてしまった
「…そういえば志摩…一つ聞いていいか?」
「ん…なんや?」
「勝呂と志摩って付き合ってんのか?」
「へっ?…」
やべっ…俺変な事聞いちまった…なにやってんだよ俺…てか、そもそも志摩が勝呂と付き合ってるなんて言ったら俺はどうすんだよ…あー俺の馬鹿野郎!!自分で自分の首しめるなよな!!
「悪い今のはわす…」
「ぷっ…アハハハハッ!!…」
さっきの質問を取り消そうと口を開けばいきなり笑い出す志摩に俺は首を傾げて見た
「…ククッ…っ…笑ってしもうて堪忍な…でも奥村君、それ勘違いや」
「へっ?…勘違い」
「そ、俺は坊の幼なじみなだけあって恋人やあらへんよ」
「…本当かぁ!」
その言葉に俺は一気に声を弾ませた。
今まで志摩と勝呂恋人同士だとずっと思っていたから手だしはあまりできなかったがこれからは堂々できると安心したからだ。そしてそれと同時に決心をした
これから志摩に告白をすることを…
「なぁ志摩!」
「次はなんや?」
「好きだ!!」
やっと言えた…
「へっ?…好き?」
「あぁ…俺は志摩が好きだ!付き合ってほしい」
「そ、それほんまなん…!?…そないにいきなり言われましても」
「あぁ…でも返事は今すぐじゃなくていいゆっくり俺に惚れさせてやる」
(きまった)と心の中でガッツポーズをしながら志摩の手をぎゅうっと握りしめてそう言えば志摩はまたククッと笑い出した
「奥村君…君変わってておもろい子やな…ええよ?君が本気なら俺かて本気で相手したりますわ」
ニコッと笑みを浮かべて俺の握った手を握り返す志摩に俺も自然と笑みを浮かべ頷く
「あぁわかったぜ志摩!」
「廉造って呼んでや」
「…あぁわかったぜよろしくな廉造…」
「それでええ…俺からもよろしゅう…ならそろそろ授業始まるさかいまた後でな燐君」
塾の時計を見て志摩は立ち上がれば自分の席へと戻った。たまにちらっとこちらを見れば手を振ってくるそんな志摩に俺は手を振り返す
全てが楽しい方向へと進んでゆく俺は早く明日がこないかと嬉しそうに笑みを浮かべた
〜苺キャラメル〜
(…お前ら俺いること忘れとるやろ!!!)
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