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□可愛いから仕方がない
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「久しぶりの兄弟三人でのお出かけやな」


「そうやなぁ…ほら廉造もそないな場所に隠れてないで行くで」


雲ひとつない青々とした空、柔らかな日差し
そして志摩家には柔兄と金兄の清々しい程の笑みとはずむ声が聞こえる。今日も穏やかで平和な志摩兄弟
しかし、俺だけはその今日が生きていた人生で一番最悪の日であり、俺は箪笥と戸棚の隙間へとはいり顔をしかめていた


「嫌や!!…行きとうない」


「なんでや廉造…兄ちゃんに逆らうのか?」


「そうやで廉造!…俺も金造もお前と出掛けるのを楽しみにしてたんやで」


「…うっ……そりゃ俺も楽しみやったけど……」


「ならええやろ?ほらっそないなとこに縮こまってないではよ来いや」


「嫌ぁーやぁぁー!!!!」


金兄に無理矢理に腕を引っ張られ流石は兄の力で俺なんか勝ち目もなくそのまま金兄達の方へと引き寄せられた


「ぶっ…!?…アハハッ…ハハハッ…ヒーッ…腹痛ぇ…」


金兄に引っ張られ出てくれば金兄は噴き出し腹を抱えて笑い出す。
それもそうだ、俺はいま訳あって黒いレース生地の膝上のワンピに白と黒のハイソックスに胸に赤い薔薇のブローチをつけて女装をしているのだから。しかもこれは全て柔兄達が用意したものだと言う


「……っ…やから見せたくなかったんや!!!金兄のドアホ!!」


「まぁまぁ…金造も笑うなや…廉造可愛ええで」


「柔兄…」


柔兄は俺の頭を優しく撫でてくれた。可愛いと言われて嬉しくはないんやけど何だか柔兄だけはなぜだか嬉しくなる


「柔兄…抜け駆けすんなよな…つか廉造…下って女ものなんか」


金兄は柔兄の言葉に顔をしかめながら俺の黒いレース生地のワンピをめくりあげた


「ひゃぁっ…なにすんねん」


「なにって…パンツ確かめただけやろ?なに女の子みたいに悲鳴あげてるんや」


「ドアホ!!いきなりやられたら誰でもびっくりするやろ」


「お前、兄ちゃんに何回ドアホって言いよった!!」


「ええ加減にせぃ…はよ出掛けな時間なくなるで」


柔兄はため息をつきながら喧嘩両成敗と言わんばかりに二人の頭を軽く叩いた


「えっ…この姿のまんま俺出掛けるん?」


「当たり前やろ?ほらこれウイッグや」


柔兄が俺に渡してきたのは俺の髪と同じ色の長髪のウイッグ
冗談じゃないとそれを柔兄に返そうとすれば柔兄は俺を見つめて笑っている。怖いほどに笑っている…俺は金兄とは比べものにならない程に違う無言な柔兄の物凄い威圧感に負けてそのウイッグを恐る恐るかぶった


「おー廉造可愛えぇやん」


とわしゃわしゃと柔兄は頭を撫でてきた


「それじゃぁ行くか…廉造」


金兄は俺の右手をとればちゅっとリップ音をたてて手の甲にキスをした


「なっ!?…金兄っ…」


「お、金造ノリノリやな…なら俺も」


と柔兄は負けじと頬にちゅっとキスをしてきた


「じゅ…柔兄までっ…なにして!?」


「柔兄ずるいで…なら俺も」


と金兄までも頬にキスをしてくるため、その恥ずかしさから頬を赤らめた


「で、出掛けるんやろ!!はよ行きましょや」


「うーん…出掛けようと思ったんだけどな…なぁ金造?」


「だよな…柔兄…こんな可愛い妹見たらな……」


「…はいっ?」


背中に鋭い悪寒が走った。なんだか嫌な予感がする…逃げた方がいいと頭の中でサイレンが鳴り響き渡る
これはヤバいかもしれへんと逃げようとしたが、時既に遅かった

逃げようとする俺を金兄と柔兄に両手をガッチリ掴まれたのだ


「どこ行くんや廉造…」


「そやで、廉造…兄ちゃん達とええことしよや」


「えっ…あっ…そのえっと」


「ほらほら…兄ちゃんの部屋に行くで」


蔓延の笑みを浮かべて俺を両手を掴みながら部屋へと連行する二人。俺はその恐怖に青ざめるのだった


「嫌やぁぁぁーー!!!」

















〜可愛いから仕方がない〜


「…っ…グスっ…柔兄金兄のドアホ!!」

「なんや?廉造が悪いんやでそないに可愛い格好するから」

「そやで、廉造!またしよな」

(もう…二度とせえへん)

「何か言ったか廉造?」

「いいえ…なんも…」




【お兄ちゃん達に攻められる志摩君を妄想して衝動的に書いてみました。しかし酷いクオリティー(-.-;)

まぁ訳ありと言うのは志摩君がお小遣を全てエロ本に費やしたとかだと私は思いました(あれっ?作文?)】

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