岩男

□Pediophilia
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何故この子は動くんだろう。
きっと動かない方が綺麗なのに。
何故この子は僕と戦おうとするのだろう。
僕は君に一目惚れしたのに。
何故この子は僕を見ないんだろう。
見なくてもいいから、せめて…




侵入者が入った、との情報が僕に伝えられたのは10分前だった。
連絡が入り、急いでモニターを確認した時には、もう僕以外みんな倒されていた。
みんな軽い怪我ですんでいたけど。

侵入者は甘い奴だな、と僕は思う。
僕なら面影も無い位に壊す。

とにかく配置に着かなきゃ。
侵入者はすぐそこまで迫っていた。


部屋のシャッターが開く。
その向こうに居た侵入者を見て、僕は驚いた。
なんと侵入者は10歳位の小さな少年だった。
それも人形かと思ってしまう程美しい。


時が止まる感覚がした。
この子が欲しい。
理想の×××××だ。



「君がクラッシュマン?」

凛とした声で、僕に話しかける。
空の色をした少年。

不覚にもビクリとした。
そうか、ロボットだもんね。
この子喋れるんだ。
この子は動けるんだ。

何だかいきなり感情が冷める気がした。
動かない方がきっと綺麗だ。
何もせず佇んでいるだけで充分。
綺麗なお人形でいいのに。

「…うん、僕がクラッシュだよ」

「…僕は、お前を倒す!」

いきなりバスターを僕に向けてきた。


あぁ、鬱陶しい。
黙って欲しい。
最初から分かってたけど。
この子が敵だってこと。
でも一目惚れして数秒で失恋とか。
あぁやっぱり動かないで欲しい。
意思なんていらない。


「…本当に、腹が立つ」

「何を………っ!?」

少年が何か言う前に彼のコアを貫く。

ぐしゃり、ぴーーー。
なんて音が部屋に鳴り響く。
少年が止まるおと。
少年の命が終わるおと。
オイルが少年の体から溢れでて。


少年はただの人形と成り果てた。




僕は博士に「敵を倒した記念に」と駄々をこねて、少年を綺麗にして人形にしてもらった。

博士は何だか悲しそうだった。
何故か寂しそうな目もしていた。
そして少年の名前を教えてくれた。


「ロック…やっぱ君は綺麗だ」

動かない少年の頬を撫でる。
やっぱり動かない方がいいや。
僕に逆らわない。
なんでも僕の思い通り。

ただそこに佇んでいるだけで良い。
美しい一輪の花のように。
いつまで見つめていても飽きない。
ただ静かにそこに居るだけで。

ロックが僕を見なくても良い。
何の反応を示さなくても良いから。

その代わり、僕が君を見つめ続けてあげるから。
僕が壊れるその瞬間まで。




いつまでも見つめててあげる。




fin
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