長編小説部屋

□Episode.04
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 朝日が昇り始めたと同時にパーティは出発した。
 大陸間を繋げるこの海底洞窟を抜ければルドラ大陸に上陸する事が出来るが、デイジィから案内された場所は自分達が出てきた出入り口とは違っていた。この大陸に来た時は煙突の伸びる小屋の近くだったが、此処は随分と離れた所のようだ。
 疑問を浮かべながらも海底洞窟を抜けると、ルドラ大陸が視野いっぱいに広がる。彼女達が出てきた洞窟の出入り口は至って普通に地面に穴が開いて階段があるだけで、ジェネシス大陸に行く時は森に囲まれた厳つい形相の入り口だったはずだ。
 ここでも疑問の念が浮かび上がるが、大陸へ繋がる通路が二本ある事が来た時で既に分かっているので、きっともう一つの出入り口だろうと納得するしかない。
 途中でこの地域に出現するモンスターが出現するも、パーティの歩みが止まる事はない。
 突撃を信条とするジョルジュ。剛力と剣技で一蹴するデイジィ。素早さを生かしたカミュ。全体を把握して皆が戦いやすいように配慮するミカエル。攻撃主体型だが全体の把握等の補佐が皆を纏めているお陰があって気遣いする事なく戦闘に専念出来るのだ。
 ルドラの城下町に到着すると見慣れた景色が飛び込んでくるがデイジィにとっては初めての土地柄なので、住んでいた以上のお店の数に興味津々だ。剣士という事もありつい武器屋に目が行ってしまう。

「なぁ、武器屋に行かないか? ちょっと見てみたいんだ!」
「たいした物は置いてないわよ。あんたが持っている剣の方が上等品なんだから」

 カミュの言葉を聞いて残念そうに俯く。期待を削がれて落胆するが世界には色んな武器屋が存在するとミカエルの助言で彼女の鋭気は回復したようだ。
 現状をミネア女王に報告するジョルジュの意見でお城へと向かう。意見を提言する事でモンスターに襲われている村や町を保護する様に国を挙げての国策を練りだして貰わなければならない。またこれは実際に行った者にしか分からない現状報告でもある。
 お城の入り口には守衛兵が二人。出身地であるがゆえに怪しまれる事はなかったが、簡単にはお城には入れない。それだけ警備が厳しいのだ。

「何用だ?」
「女王に話があるの。通してくれないかな」
「話があると言っても簡単には通せぬ。用があるなら自分から言っておこう」

 女王ともなれば厳重な警備網が張られ、いくら城下町の民とはいえ簡単には会えないのは当然かもしれない。
 だが『ダメだ』と言われて『そうですか』と引く訳にもいかないのも事実。こちらとしては現状を報告しなければ城から離れている村がミレイのように襲われ続けるのだ。少しでも皆が希望を捨てないように策を練ってもらわねばならない。
 折り合いのつかない守衛兵とジョルジュが城門で騒いでいると城の奥から一人の護衛兵が歩いてきた。立派な髭を蓄えた兵士で、女王を護る直属の護衛隊長だ。

「騒がしいぞ。何事だ?」
「デュラン隊長!」

 守衛兵は敬礼をした後に事の次第と彼女達の懇願を説明した。
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