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□やあやあ!私だよ!
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「…あー!おーいタナ〜!」


大きな声で、私を呼ぶ声が聞こえる。
後ろを見ると、よく知った人物が私に向かって走ってきていた。


「ん?おー!!ラッド!!
おはよう!今日も腰に
アンジェリカ差して…
どこかにお出掛け?」


私も駆け寄ると、ラッドはにっこりと笑った。


「あぁ!!な、アンジェリカ♪」


「知らないよ、勝手にあんたが持ち出してんでしょ。」


「本当に気難しいな〜ι」


アンジェリカって言うのは、ラッドの持つ武器。
炎の剣って呼ばれる、伝説に名高い剣の名前。
…それも、ラッド自身がつけた名前…なんだけど、
アンジェリカは少し不満みたいだ。


「でもあたし、タナなら持ち主に認めてもよくってよ?」


「それじゃあ私、ラッドと二度と会えないよ(笑)」


「あら、いいじゃない。
こんな奴、タナには不相応よ。」


「ヒデーよアンジェリカ〜(泣)」


「泣き虫だしチビだし。
鬱陶しいもの。
タナ、私を連れてどこかに逃げない?」


アンジェリカの姿は見えないが、
きっと意地の悪い顔で笑っているだろう…ぷぷっ。


「ちょっとタナ、なにを笑っているの?」


「あはっ、聞こえちゃった?
ぷぷっ!アンジェリカ〜
あんたそんなこと言って、
本当はラッドの事
ちゃんと信頼してるんでしょ?」


「はあっ!?そそっ、そんなことあるわけないわ!!」


声では怒っているように聞こえるが、
きっと照れてる。


アンジェリカは、
こんなことを言いながらも
幾度となくラッドと激戦を
くぐって来たんだからね!
友達と思ってないとか、
あり得ないんだから。


「ふ、ふんっ、いいわよもう!
ラッド、さっさと帰るわよ!」


「あぁ!じゃーなタナ!!
またお前ん家行くから!」


手をふりながら、
ぱたぱたとラッドは去っていった。


…ふむ、ここらで自己紹介でもするかなっ?


やあやあ!始めまして諸君!


私はクロウ・タナリアス!


一応身分上では、
国王様の養子ってこと
になってるんだ。


うん、始めにと第一話を
読んでもらうとわかると思うんだけど、
ここ、夢の中なんだよね〜
あははは!!びっくりでしょ!!
ま、私もかなり驚いたんだけど〜。
でもさでもさ、
もとの世界じゃ楽しめない事も
ここに来たらなんでもありなんだから
おっどろくよね〜(笑)


しかも、一見現実じゃ
出来ないって思ってる物も、
実は方式に沿っていたり
説明を聞いたら、
なんか妙に納得しちゃうんだ〜。


とにかく不思議なところだよ。


「そして私は今から
こっちの家に戻るのさ〜っ!!」


うるっせーよ!!


「おおっ!いたの?いつの間に?」


全く…人がせっかく、
勢いのまま叫びまくっていたのに…


「ついさっきだよ!
つか叫ぶな!うるさい!
城下町までてめぇの声届いてんだよ、
近所迷惑なんだよ!!


「なんだよ〜、いいじゃ〜ん。」


ぶーぶー言いながら、
こいつの袖を引っ張って
ひざかっくんしてやった。


…ケケケケ


「ぐおっ!!」


「ひゃひゃひゃ!」


「てめぇ!笑ってんじゃねーよ!」


「リークの方がうるさいじゃん!
言えないよ人の事!」


「そっれっはっ!
てっめぇが余計な事
しやがったからだド阿呆!」


「だっ!」


ゴチンッ☆


私の頭の上に
きらきらとお星様が煌めいた。


「うお〜!いたい!!
とおってもいたあーい!!」


「ったりめーだ!この鎧は国王様特注の…」


「なーんちって!
いったくなんかないもーん!
さあ!パパ上は待っているかな〜?」


どっぎゅーん!!


言いながら、
私はリークをほっぽって
城まで全力疾走を図った。


「ってコラ!てめぇ!
話しは最後まで聞けェエエ!!」


そしてその後ろでは、
リークも城まで全力疾走した。
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