短編

□ILOVE悪党番長
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私はどうしてあの日、あの電車、あの車両に乗ったんだろう?




※高校生
※ミツバさんが男




先週、私は高校生になった。
家から遠い女子校に通っている。
でも国文科に行きたかったから、電車で一時間くらいかかってもいい。

この黒いセーラー服はまだ全然着なれない。
お兄ちゃんから貰った腕時計もまだ慣れない。

早く電車来ないかな…。

私の最寄り駅は小さいからホームにいる人は少ない。
それに、今日はいつもよりかなり早く駅に来ちゃったからいつも乗る電車はまだ来ない。
ラッシュの時間より前に私は乗るから、確実に座席に座れる。

その時アナウンスが電車の到着を告げる。
その電車は各駅停車で、私が降りる駅にも停まる。
いつも乗る電車より二本前。

これに乗ろうかな。
学校で暇潰しすればいいや。

そう思って前から二両目の車両に乗った。
私が乗るのを確認すると、車掌さんはドアを閉める。
こんな時間に乗るから二両目の車両は私一人だと思った。けれどもう一人いた。

…血塗れだ。不良っぽいけど、大丈夫なのかな。

その不良は、座席の端に座って手すりに寄っ掛かって眠って…?いる。

鼻の上怪我してる…。
顔面殴られたのかな。痛そう…。

その不良は、一昔も二昔も前みたいな長ランって呼ばれるものを着ていた。
裏地が豹柄でかなり派手。だけど、背中にしか文字を入れてないみたいで、妙にすっきりしてるように見える。

男なのに髪の毛が長くて変わった色をしている。

…染めてるのかな。


「なにジロジロ見てんの」


ビクッと身体と心臓が跳ねたような気がした。


「寝られないんだけど」
「ごっごめん」


すごい剣幕で睨まれて咄嗟に謝った。

…恐い。
でもこの人かっこいい…。

なんでこんな朝早くにいるんだろう。
深夜外に出てたとか…?
これから学校?それとも家に帰んの…?

学校って言っても…どこの学校行ってんだろ?高校生だよね…。


「なんか用?」


また心臓が跳ねたような気がした。


「いや…?」
「じゃあ鬱陶しいからどっか行ってよ」
「…やだ」
「は?」


なんかそれじゃ、逃げるみたいでやだ。


「じゃあ絆創膏くれたらいても良いよ」


絆創膏!?
なに?くれたらいても良いって…。
アンタの電車じゃないだろ!

って思ったけど、言えないから黙って絆創膏を出して渡す。


「ありがとネ」


私が差し出した絆創膏を見て、笑いながら言われる。

結構いいやつ…?


「はい、貼って」


そう言いながら鼻の上の患部を指す。

貼れってか…?

勿論やだと言えないので黙って張ってやる。


「ありがとネ」
「いえ…」


もと座っていた場所に戻ろうとしたら、腕を掴まれた。


「なに…」
「隣に座ればいいじゃん。せっかく仲良くなったんだし」


なってねぇよ!


「いやでも、」
「どうせ俺たち以外いないんだから」


確かにあれから何駅も過ぎたけれど、幸か不幸か二両目には一人も入ってきていない。

何故か逆らえないから隣に座る。


「名前なんて言うの?」


さっきまでの剣幕はどこへやら、笑顔で聞いてくる。


「……沖田」
「ふぅん。沖田ネ」


はい。沖田です。


「俺は神威」
「へぇ」


変わった名前…。


「どこの高校行ってんの?」


この人の笑顔は威圧感がある。
…笑顔って威圧感を与えるものなんだっけ?


「あ、中学生だった?」
「高校生!」
「うん。どこ行ってんの?」
「…真代女子」
「マヨ?…ああ、あそこネ」


教えてしまった…。


「俺はネ、春雨高校行ってるから、会いたかったら来ていいヨ」
「は?」
「というかアドレス教えて」


待て待て待て!


「やだ…」


さっきまでの不良はどこ行ったの!?誰この人!


「なんでヨー」
「こっちがなんでヨーなんだけど」


睨まれたとき、ちょっとかっこいいとか思った自分が恥ずかしい…!


「沖田ってさ、」
「うん?」

















「俺のこと好きなんでショ?」




*・*・*・*・
「だってどっか行けって言ったとき、やだって言ったから、俺のこともっと見ていたいのかなぁって…」

土沖小噺の学校が違うヒトと同じ設定です。
長い!拍手御礼文にしようと思い、やっぱり小噺にしようかと思い、長いので普通の短編になりました。




*20120604
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