短編

□ひな祭り
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※昼
※土手
※狂愛チック
※ひな祭り記念小説
※いつ頃の話?と突っ込まないでください




「お内裏さぁまとお雛さまぁ〜」
「……どうしたの?」


金平糖をバリバリしながら歌ってみたら隣に座っている神威に不審がられた。


「曲名知らないけど、ひな祭りの歌でさァ」
「ひな祭り?」
「女の子のお祭りでさァ」
「ふぅん」
「美味しいもん食べられるんでィ」


そう言い、また金平糖を一(しと)つ口に入れる。
ちなみにこの金平糖は山崎から今朝直接渡された。
雛壇も雛人形も持ってないからだと思うけど…私自身ひな祭りなんて忘れてたのに、山崎ってなんかすごい。


「そうなの!?」


食い付き良いなぁ。


「男の子は参加しねェんですぜ」


金平糖って食べ続けると思いの外水分持っていかれるなぁ。


「そうなの?」
「そうでさァ。男の子にはこどもの日があるんでィ」
「…ふぅん。それっていつ?」
「五月五日」


金平糖美味しい。


「あと二ヶ月もあるじゃん!」
「…そうだねィ」


こども、の日だっつーの…。子供じゃねェだろ。


「五月五日はどこもご馳走だらけなの!?」
「家にもよるけど……多分。」


目がキラキラしている神威可愛いなあ。

…だから神威は…。
なんか…言って良いのかな?


「…神威は大人だから用意する側でさァ」


書き文字をつけるならビシッ、だと思う。
神威が目を開き固まった。


「…俺の歳は公表されてないヨ」
「いや身体的に」


大人でしょ。


「俺の身体知らないダロ」


親指で自分のことを指差しながら、なんでか自慢気に言う。


「当たり前だろィ。…知りたくもないし」


そう言えば神威は笑顔になる。

なに…。


「総羅は、身体を見なくても普通な身体してるよネ」


ビシッ。
今度は私が固まる番だった。

なにコイツ。
というかどういう意味だ。
女扱いはあんまし好きじゃないけど失礼なんじゃない?
…まさかああいう意味じゃないよね?


「…どうしよう」
「ん?」


反撃の反撃。


「神威のこと嫌いになるかもしれない」
「えっ!?」


スクッと立ち上がる神威。
何だかわたわたと動揺している。よし。

何故か神威は私のことが好きらしい。


「総羅…」
「…なに」


いやに真剣な表情と声色でまた座って私に向き合う。


「総羅の髪の毛っていつもイイ匂いがするネ」


と言いながら私の髪の毛を触る。

…ぞわ…。


「目も綺麗だヨ。真っ赤で。本当に。血みたいで最高」


…さいですか。

神威の手が離れたと思ったら、今度は私の頬に伸びる。


「綺麗な顔だネ。歪んだらどうなるの?血まみれの総羅もみたいな」


…………褒めてんのかな。
神威的には褒めているんだろうなぁ。

今度こそ神威の手が離れたと思ったら、腰にいく。
正確にはギュッとされてる。


「総羅って抱き心地イイよね。離したくなくなるヨ」


ぜひ離してくだせェ。

今度は神威の顔が無駄に近くなる。


「総羅の唇ってそそるよネ。誘ってんの?」


はあ?

さらに神威が近くなる。
ちょっ…。


「ダメでさ!!」


神威がそそると言う唇を守るために、神威の横顔に拳を一(しと)つ。


「ぐはっ!!」


なんか…すごい。
あの神威が私の拳をもろにくらうなんて。


「大丈夫…?」


そんなに吹っ飛ばなかったから近くにいる。


「大丈夫…」


頬を抑えながら起き上がる神威。

全然痛そうじゃない。
神威夜兎だし?別に良いよ?良いんだけどなんか腹立つ。

その神威はムスッとする私の手を掴む。


「じゃあ続きしようか」


は!?
ちょっちょちょちょちょ!


「ダメって言ってんだろィ!」


今度は神威の頭に頭突きを一(しと)つ。


「のあっ!!」


そのまま後ろに倒れる神威。
…何だかスローモーションに見えた。


「…何すんの」
「チューしようとしただろ」


これまた全然痛くなさそうな神威に、ちょっとだけイラッ。


「そうだヨ?それがどうしたの?」
「…なに当然のように言ってんでィ」
「…当然でショ?」


なんでだよ。


「恋人同士でするもんでさァ」
「………なるほど」


やっと分かったか。


「総羅は俺と恋人同士になりたいんだネ!」
「……は?」
「好きだヨ!」


人の話聞いてんの?




*・*・*・*・
「照れなくていいヨ。俺のこと好きなんダロ?」
「…んなわけねェだろ」




好きな子ほど苛めたくなるタイプだと思います。
ひな祭り関係ないような気がする。多分気のせいじゃない。
そして段々改行と三点リーダが増えていっているような。

梅ノ季節、小説大量更新期間!
第一段。




*20120309

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