短編

□神威くんが欲しいプレゼント
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※クリスマス記念小説
※恋人設定
※夜
※高杉と神威接触前




「総羅、寒くない?」


神威が心配そうに聞いてくれる。


「大丈夫でさァ」


この隊服ってカッチリしてるからそれなりに暖かい。

強いて言うなら足が冷たい。短パンだから。

……冷たいなら短パン履くなって?いやいやいや、どんなに寒くても今年の冬も短パンで頑張りまさァ。


「温かい飲み物持ってこようか?」


あ…ちっと神威の存在忘れてた。
え…っと、どっちかっつーと喉は乾いてない…けど。


「……じゃあほうじ茶」


折角だからお言葉に甘えることにする。
…てか神威、ほうじ茶知ってんのかな。


「………ほ、ほうじ茶?ネ。待ってて、すぐ持ってくるから」


そう言って部屋を出ていく。


私が今座ってる場所は、銀河系最大犯罪シンジゲート宇宙海賊春雨第七師団団長の部屋…………のベッド。


要するに神威の部屋にいる。
無機質な…機械のような、コンクリート打ちっぱのような部屋だから少(しこ)し肌寒い。
だから神威が寒い?って聞いてくれた。


それよりも……ちゃんと帰してくれるよね…?

さっきからそれだけが心配で。寒さなんてどうでもいい。
自惚れかもしれないけど、私に惚れてるらしい男は愛情表現が下手だから。
軟禁とかも普通にしそう。

今更だけど、どうして私がここにいるかっつーと、私の馴染みの団子屋で昼寝中に拉致されてた。


そんなことを考えてたら扉らしきものの向こうから足音が聞こえてきて、それは段々大きくなる。


「お待たせ〜。待った?」
「全然」


待ってない。待ってないどころか早い。


「ほうじ茶って何だかわかんなかったから阿伏兎に用意させたんだけど…」


成る程。阿伏兎さんか。
合ってる?って神威は聞いてくるけど…ちゃんと合ってる。
さすが阿伏兎さん。


しかも熱々。


「ありがとうごぜェやす」
「うん…!」


…いやいや神威じゃなくて。


「阿伏兎さん。に」


神威が持ってきてくれたけど、用意したのは阿伏兎さんだし。


「あははは。持ってきたの、俺、だヨ」


あれ、機嫌悪くしちゃった…?
笑いながらコメカミに青筋たてないでほしいなあ。…怖い。


「………うん。あっありがとう」


噛んだ…!
なんつーとこで噛んでんだ私!
なんか無理して言ったみたいになってしまった。


「…………飲んで」


…なんだか怪しい。


……神威の顔がいつもと違う。
何かを企んでる顔だ。


「…飲んでくれないの」


うっ…。
これは飲まなくてはいけない!


「飲みまさァ…」
「うん!」


ほら、やっぱり怪しい。
第一神威が温かい飲み物持ってこようか?なんて優しさを見せること事態怪しい。
しかし飲む、と言った手前……飲まなくてはいけない!


ぐびっ…と最早やけくそで飲んでみた。

私が飲んだ瞬間、神威の顔がエガオではなくニンマリし始めてた。


…ホントに何。

毒でも入ってんのかな。にしては体は何ともないし。
じわじわ苦しめる…的なヤツ?


「……あのさ、今のアンタ最高に気持ち悪いんだけど」
「そんなことないヨ」


そんなことあるから言ってんだよ。








あれ…。



なんか………。


猛烈に眠い…。


なんでだ?



ああぁ駄目だ。
寝まいとするほど瞼が重くなっていく……―。















変な物音を捉え意識が戻ってきた。


あれ…寝ちゃったのかな。
えっ…と、ここ何処だっけ。

ああそうだ神威の船……。

…あれ、私横になって寝たんだけ?
ってか部屋暗い…。





カサカサ――



―!?


なっ何…!


なんか…嫌なんだけど…。

アレの…足音みたいなんだけど…。
黒くてとにかく気持ち悪いミスターG…。

その時私の頭のすぐ横に人の気配がした。
暗闇になれた目でゆっくり気配を出している張本人を見ると…。




うわっ!



誰コイツ!
何コイツ!



見知らぬ変態がいました。


「くせものぉぉぉぉ!」


そして叫びながら赤い物体の胸ぐらを掴み投げ飛ばしていました。


「うわああぁぁあ!」


その声にハッとする。

え…?


「………………………神威?」


向こうの方からいててて…とか聞こえる。
手加減しなかったけど…痛くなんかないでしょ。神威からしたら。


「も〜、…いきなり投げられるんだもん。ビックリしたヨ」


とか言いながら近づいてきた。

…歩けるんだ。


「で?」
「ん?」


すっかり暗闇に慣れた私の目には、いつもの笑顔…だけど少(しこ)し焦ってる神威が見える。


「何してたの」
「…何も?」
「嘘」


明らかに挙動不審。
それに、


「なに、そのカッコ」


そう言うと神威の肩が跳ねた。


「サンタ…?」


さらに神威の肩が跳ねた。
赤い服に赤いズボンに赤い帽子。つけ髭までつけて…。サンタさんだよね…。


似合う…っ!
ってか私が寝てからいそいそ着替えたのかな。
笑える…っ!


「何笑ってんの」
「…いやっにっ似合うなあ、て…っ!」


あの神威が!…サンタさん…っ!


「こっそり枕元に置こうと思ったんだけど…、バレちゃったからもう手渡ししちゃうネ」
「は?」


白い袋をカサカサと漁り出す。
結構大きいけど…何入ってんだろ。


「はい」


そう言って左(しだり)手に乗せられたのは桃色の細長い箱。
クリスマスプレゼント…?なのかな。


「ありがとうごぜェやす」
「うん!」


嬉しそうに笑う神威を見てると、何だか私まで笑顔になるなぁ。


「開けて良いですかィ?」
「良いよ!」


神威は部屋の電気をつけて私の横に座る。


…電気眩しい。


赤色のリボンをほどいて桃色の箱を開けると、出てきたのは銀色のネックレス。


「あれ…この兎って…」


兎が杵を持っている。
チャイナの服に書かれてたマークと一緒でさァ。


「夜兎のマークだヨ。俺この兎好きなんだ。だから総羅にって思って」
「ありがとう…」


この兎可愛いから好きだった。
何より神威からのプレゼント…どんなもんでも嬉しい。


「神威」
「ん?」
「その…まさかクリスマスに会えるなんて思わなかったから…何も用意してないんだけど…」


会えるって分かってたら用意したのに…。


「別にいいよ。会いに行くってこと内緒にしてたかったんだ」
「そう…なんですかィ?」
「うん」
「サプライズで登場して驚かそうって魂胆だったんで?」
「それもあるけど」


けど?


「総羅は来るって分かってなきゃプレゼントとか用意しないと思ったから」


私からプレゼントなんていらないってこと?


「総羅をプレゼントして貰おうと思ったんだ」


……………。




*・*・*・*・
「ところで何でこの兎が好きなんでィ」
「ん?だって持ってる杵で殺ってきた後みたいじゃん!」
「………さいですか」




バレンタインデーも過ぎています。
メリークリスマス!




*20120216

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