短編
□ネックレスとはつまり、
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※クリスマス
※夕方
※恋人設定
※いつ頃の話?と突っ込まないでください
私は今、機嫌が悪い。
え?なんでって…そりゃ、こんな…バカップルたち見てりゃ機嫌も悪くなるってもんだ。
人(しと)前でイチャつかないでほしい。
そりゃね、今日はクリスマス、冬至も過ぎてめちゃ寒いのは分かるけど、マフラー一緒に巻いたりしなくてもいいんじゃね?
私は今、世に言うほら此方来いよ☆いやんっとかなんとか言ってるバカップルをイライラしながら見てる。
お前ェらどっか行けよ。
なんで私の馴染みの団子屋の前なんだよ。
クリスマスってなんでこうカップル多いんだろ。
一緒にマフラー巻いたり…。
手ェつないだり…。
彼氏が彼女にコートかけてあげたり…。
彼氏がギュッてしてくれたり…。
……………………私なんて、月に一回会えるかどうかなのに。
一緒にマフラー巻いてくれる相手は宇宙だし。
どんだけ遠距離なんだよ。
聞いたこと無ェよ。
彼氏が宇宙で彼女が地球って。
「総羅が俺についてくれば良いんだヨ」
は!?
「俺マフラーとか持ってないんだけど…」
かっかかかっか神威…!
前にもこんな展開あったな…。
「……いっいつから?」
「お前ェらどっか行けよ。あたりからかな」
かなり前からじゃん!
そんな前からいたんならもっと早く声かけてほしかった。
「あ、包帯ならあるヨ。一緒に巻く?」
どこに…。
なんで包帯持ってんだ?
あれ。なんでいきなり…?
「一緒にマントに入る?」
「…いきなりなんでィ」
私がしてほしいこと言ってきて…気持ち悪い。
「全部声に出てたヨ」
じゃあ私は独(しと)り言言ってたってことか。恥ずい!誰かスコップを持ってきてくれ〜大きめのやつ。
「総羅もやっぱり女の子なんだネ」
なんだかイラッてきた。
どういう意味。
「ほら総羅、ギュッてしてあげるから俺の胸に飛び込んでおいで」
両手を広げて私が飛び込むのを待ってる…らしい。
私が神威のことすごい好きだと思ってるよ…。
というか信じて疑ってない。
だって神威の背景キラキラしてる。
別に良いけどさ。
神威のことすごい好きなのは本当だし。
でも自分から飛び込んで行くのは嫌だな。
…女から行くもんじゃねェ。と変なプライドが語っている。
「総羅」
私が一向に動かないから神威は手を下ろす。
「なに」
「俺、七日前から地球に向かってたんだ」
だからなに。
「クリスマスは恋人と過ごすもんでショ」
近藤さんと過ごせりゃそれでいい……けど。
「仕事は阿伏兎に任せて今日だけ休み貰ったんだヨ」
本当に、任せた、のかな…?
押し付けてきた、とかじゃないの?
「クリスマスプレゼントがあるんだけど…貰ってくれる?」
神威がクリスマスプレゼント…!?
そんなロマンチックなこと思いつくんだ…。
「モノによる」
「いやどんなものでも貰ってヨ」
得体の知れない、こう…アレな感じなモノだったら嫌だし。
「……総羅、男が女にアクセサリー贈るのって独占欲が関係してるらしいヨ」
…は?
なにいきなり。
「その他のは忘れたけど…はい」
そう言って私の左(しだり)手にポンっと長細い桃色の箱を置く。
「…開けて良いんですかィ?」
「うん」
神威から許しを貰ったので、蝶々結びされてる群青色の紐を解き、箱を開ける。
「首輪」
神威が首輪だというコレは、チャイナが着てる服の後ろに描かれてた杵を持ってる兎のネックレス。
「………可愛い」
…結構この兎好きなんでさァ。
「気に入ってくれた?」
「…うん」
…ていうか“うん”以外の選択肢無いだろィ。
「つけてあげるヨ」
えっ…。
あの神威がつけてあげる!?
恋人みたい…。
「今脱がすからちょっとソレ持っててネ」
断じて違う。
卑猥な感じに聞こえると思うけど違う。
神威は私のスカーフをスルスル取ってシャツのボタンを二、三個外してるだけでさァ。
脱がすとか言わないでほしい。
「出来たヨ」
ありがとう、と言ったが早いか神威に抱き締められる。
私も珍しく神威の腰に手をまわす。
こんな人(しと)前で…、バカップルだろうがなんだろうがどうでもいい。
横目に神威を見ると満足そうに笑ってるから…、たまあぁには人(しと)前でイチャついても良いかな、なんて、思ったり…。
*・*・*・*・
クリスマス要素が薄すぎる。薄いどころの話じゃないですね。
……クリスマスどころか三賀日(?)も過ぎてしまった…。
ちなみにあの某人気少女漫画から「アクセサリーは独占欲〜」をいただきました。
*20120104