短編

□また、焦がれる。
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※昼
※夏
※恋人設定
※いつ頃の話?と突っ込まないでください
※ご意見ありがとうございました!




「あちィ」


なんでこんなあちィ中公園のブランコに座ってなきゃならないんでィ。
くそ、折角の非番だってェのに、今日屯所に来るお偉いさんが女嫌いだとかなんとかで追い出されちまった。
土方のヤロー、あとでマヨネーズ隠してやる。


「おい」
「あ?」


アイツの声が少(しこ)し上から聞こえた。最悪。今日はとことんツいてねェ。


「ここいらのブランコはかぶき町の女王、神楽の物アル。遊びたいなら酢昆布一年分上納するヨロシ」
「馬鹿かお前」
「馬鹿って言った方が馬鹿ヨ」
「それ言ってる時点で馬鹿はてめェでィ」


暑いうえに今は大体一時前後。一日で最も暑い時間帯にコイツに会っちまった。
何だろう。神楽の顔が神威に見える。…イライラするなァ。

最近…会ってねェな。
神威が会いに来てくれない限り神威と話せない。電話なんて繋がんないし。
私からは会いに行けない。なにやってんでィ。神威。


「なに人の顔ジロジロ見てるアルか」
「ムカつく顔してんでィ」


これも暑いせいなんかねィ、喧嘩腰になっちまう。


「それはこっちの台詞アル」
「あそ」


話しかけてくれんな。
今沸点が低いんだよ。


「なにイライラしてるアルか」
「してねェよ」
「してるアル」


めんどくせェ。
神楽が神威にしか見えなくなってきやがった。


「ブランコから下りるアル」


神威と神楽、クリソツだから……神楽がアルアル中毒娘で良かった。


「もう一(しと)つあるだろィ。そっちにしなせェ」
「嫌アル」


はあ。


「じゃあ力ずくで奪ってみたらどうでなんでィ」


なんだかすごく暴れてェ。
神楽なら丈夫だし手加減しなくて大丈夫だろ。多分。


「上等じゃァァァ!!」


神楽は高くジャンプし、一回転して番傘の銃口を向けてくる。


…あ、神威と同じ番傘だ。


発砲の音がやけに遠く聞こえた気がした。
…けど、頬を掠めたピリッとした痛さに我に返る。


「……どうしたアルか」


神楽は既に地面の上。
困惑したような顔で私を見てくる。

駄目だ。
集中…できねェ。
目の前にいるのは………神威の…妹。
コイツに会うまでは、我慢してたのに…。
…神威への想いが、止まら、ない…。


「……なにやってんの」


え…。


「っ神威!」


えっ。


「わっ!」


深く想いすぎて幻聴まで聞こえだしたかと一瞬思った。
けど、腕を引っ張られる。


「なにしに来たアルかっ!!」


…神威に。
…手首痛ェ。
手加減、相変わらず下手だねィ。


「なんでも良いダロ。そんなことより」


冷たいような、突き放すような、だけど妹といういろんな意味での特別な存在への声色。


「なっなにアルか」


会いに、来てくれた…それだけで嬉しいのに、わざわざ探してくれたのだろうか。


「総羅に手ェ出したら」


冗談一つない本気な声色。


「殺しちゃうゾ」


クルっと神楽に振り返り平然と言い放つ。


「な、なに言って………神威!サド!」


痛い痛い痛い!
連れ去るというか引きずるに近い…。

それと、私を引きずっている間…神威はチャイナに振り返らなかった。


「総羅」


ああ、やっととまった…。


「寂しかったんでショ」
「は?」


いっいきなりなんでィ…。
あの、その…別に寂しかったとか…そういうんじゃ…。


「顔に書いてあるヨ。総羅って案外顔に出るんだね」


一応ポーカーフェイス…キャラなんだけど…。
神威…優しい目ェしてる。こんな顔出来るんだ。

ああ、やっと…会えた………。
会いたかっ…た…。


「…寂しかった……少(しこ)し」


少(しこ)し…なんて、嘘。本当は…。


「嘘つくの、下手なの?」


うわっ…!なんでバレんの。
その神威がいきなり顔を近づけて…って、え?
近っ!顔が!
まさかこんなところで…。


「ぎゃあァァァ!」
「前にも言ったけどさ、たまには可愛い鳴き声も聞きたいな」


なっ舐められたっ!かか、かすり傷っ!

チューされると思った。
恥ずかしい…!


「チューして欲しかった?」
「なななにがっ?」


今日はやけに鋭い。


「総羅がチューしてって言ってくれたらしてあげるヨ」
「はっ?」


神威ってSなの?なんで上から目線?私が攻めたことなんて一度もねェけど、なんで私が攻められるんでィ!


「今度はいつ地球に来れるかナ。夕方には発っちゃうし」
「……ずりィ」


また、いつ会えるか分からない。
また、神威が会いに来てくれるまで待ってなきゃならねェ。
また、…神威に焦がれる。


「…寂しい」


今何してるの?
今日は何食べたの?
女と喋ったりするの?
言い寄られたりするの?

そんなことも…聞けない。


「…チュー、してくだせェ」


きっと今、顔真っ赤だ。


「なんか俺すごい悪いことしたみたい」
「いつもしてんだろ」
「総羅とはまだ一発もシてないヨ」
「…話し飛んでる」


言わせといてチューしないつもりなのかな…!


「総羅、目瞑って」


あ、するんだ。
緊張する…。
そういや神威からチューするの初めて…………あああああ。
いつになったらこの変な感じが慣れるんだろ。
なんか、神威が笑ってんの、唇越しに分かるし。
うわああああ!
前言撤回!こんなん慣れなくていい!


そう思ったとき鼻がツンとするようなものを感じた。
それと頬に変な違和感も。あれ、なんで…。


「なんで泣いてんの」


ああやっぱり泣いてたのか。
やだなぁ、重い女になんてなりたくねェ…。


「…生理的に」
「違うダロ」


私ってそんなに嘘つくの下手だったかねィ。
焦がれてた神威に会って、話して、チューしてもらって、幸せ…なんて…言えん。


「よく分かんないけど…幸せってやつ?」


今日はよく心を読まれる。
思ってること顔に出ないタイプなのに。
それとも神威が鋭いのか。というか神威って幸せ、なんて言葉知ってたんだ。


「………………………幸せ」
「うん。…俺も」




*・*・*・*・
素敵なシチュエーションなのに…主線が違う。
神楽ちゃん難しい…。大好きなのに。
今回は総羅→→←神威で。たまには(笑)
このテの話は大好物だけど、自分で書くのは苦手だと気がついた(´・`ι)
チューするときの表現の仕方がまだ分からない…。
素敵なご意見をありがとうございました!
また気が向きましたら是非!

*・*・*・*・
風雷さまの拍手コメントからチューの表現を少しいただきました。
ありがとうございます。
上にも書いていますが気が向きましたら、また是非(*´∇`*)




*20111106(もうすぐ07)
*20111209(また日付跨ぎました)

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