短編

□真選組チャイナ服デイ
1ページ/1ページ

※昼
※秋
※いつ頃の話?と突っ込まないでください




恥ずかしい…。何が恥ずかしいって…そりゃ服装が!

いきなり松平のとっつぁんが真選組チャイナ服デイとかなんとか言ってきて、あれやこれやと言う前にチャイナみたいな両側に深いスリットが入った、金字に黒のチャイナ服を持ってきた。

男…ってか私以外は神威みたいな格好してまさァ。
…これにズボン履いちゃ駄目?

こんなコスプレみたいな格好、知り合いには絶対会いたくない。
屯所にいようにも神山筆頭に隊士たちが鼻血出して、見かねた土方がマヨネーズ買ってこいってパシられ、今こうして愚民どもの痛い視線を浴びている。


「お嬢さん」


あ、この声…。


「え〜っと。神威の部下の…」


…誰だっけ?


「阿伏兎だ」


ああ、そうだったそうだった。すっかり忘れてた。


「いつも団長が世話になってるねェ」
「あはは」


明らかに阿伏兎さんのほうが苦労してると思うけど。
…阿伏兎さんって、あれ、神威の保護者なんだっけ?お目付け役だっけ?
ま、なんにせよあんな天上天下唯我独尊な上司じゃ悩みも多いんだろうな。


「憐れみの目ェしてんだけど…」
「大変ですねィ」
「あ?あ、あァ。ところでお前さん、随分と…。団長が喜びそうな格好してんなァ。んな格好してると喰われちまうぜ」


喰われるって…部下にもそういう目で見られてんだ。
兎だもんね。

阿伏兎さんは女のチャイナ服なんぞ見慣れてるだろうから恥ずかしくねェけど…。
…まず寒い。肌寒い。


「その風呂敷寄越しなせェ」


そして愚民どもの視線が痛い。
阿伏兎さんの風呂敷…のようなものを掴みながら思った。
阿伏兎さんって背高いな。どっかのアンテナと違って。
このチャイナ服…足上げるとパンツ見えちまいそう。いや見える。ひらって。


「おいおいおいおい。勘弁してくれよ。俺ら夜兎は日に弱いんだぜ?コレは日除けだっつーの」


あれ、阿伏兎さんがここにいるってことは、神威も近くにいるのかな。


「阿伏兎」


なんてことを思っていると、奴の声が聞こえた。
そして阿伏兎さんが凍った音も聞こえた。


「なにやってんの」


あれ、なんか怒ってる?


「だだだだ団長…」


わあ、人ってこんなに冷や汗を流せるもんなんですねェ。


「総羅」
「なに?」


なんだろう。神威がなんだか…ユラっ…て表現が似合う歩き方をする。


「その手はなに」


言われたが同時に手首に痛みが走る。

いっ痛い痛い痛い痛い!
掴んでいると言うより……なんだろう。掴んでいるより痛い表現…。
あれ、前にもこんなことあったような…。その前も。
このアンテナ、…握り潰そうとしてるんじゃねェだろうな…!


「総羅、なに阿伏兎なんかのマント掴んでんの」
「は?」


それよりも手ェ離せェェ!
なんで手加減ってものを知らないんだろう!
阿伏兎さんのほうが絶対優しいだろうし、手加減出来るだろうし…。背ェ高いし!


「総ての170pの男に謝りなヨ」
「え…それしかないの…」


さらに強く手首を掴まれた。

自分でバラしたんだろ!
…170cmはアンテナ入れて?それとも抜いて?もしかしてそのアンテナは身長を少しでも高く見せるためにあるんじゃ…。


「総羅がデカいんダロ」
「…高いと言いなせェ」


すべての170pの女性に謝りなせェ!
…あ、私と神威、身長同じなんだ。


「俺はまだ成長期だから」
「もう無理だろ…」


神威の歳知らないけど。
少なからず神威も身長気にしてんのか。


「団長も嬢ちゃんもその辺にしとけ」


阿伏兎さんが仲裁に入ってくる。
…大人だなァ。
阿伏兎さんって優しい性格してんだろうな。
素敵なおじ様って感じでさァ。


「ほら団長、嬢ちゃんの格好よく見て」


え…。


「…総羅、その格好どうしたの?」


そう言う神威の瞳は輝いている。


「可愛い…。いつも可愛いけどネ」


いつも…可愛くないですぜィ。
でも…可愛いって…。


「俺のため?」


それは違う。


「良かったな〜」


阿伏兎さん…、喰われちまうぜ、とか言っといてなに言ってんの。
なんだろう、阿伏兎さんの顔が、新しいオモチャを発見した子供を見守る親の顔なんだけど…。
第一神威のためじゃねェ。


「…違いまさァ。真選組チャイナ服デイなんでィ…。」


溜め息混じりに言う。
今日一日だけで良いってことだけが救いだよ!


「チャイナ服デイ?…なにそれ。なんの意味があんの」


こっちが聞きてェんでィ。


「人々(しとびと)の注目の目…?」


コイツ等の異様な風体のお陰で人通りは全く無くなった。元々いなかっちゃァいなかったけど。


「コレ…パンツ見えちゃわない?大丈夫?」
「…見えまさァ」


普通に歩いてても際どいってェのに。


「可愛いけど…。俺以外の前ではもう着ないでネ?」
「私ももう着たくありゃせん」


そう言い、神威をふと見ると神威の視線の先がおかしい。
あれ。ちょっ神威どこ見てんでィ。


「やっぱりコレパンツ見えるよね」


全然気にされないのも嫌だけど、どんだけパンツに拘んの。


「一応黒いのはいてんで」
「そうなの?」


そう言ったが同時に神威の頭がなくなる。
…あれ、なんでしゃがむの?


「ぎゃあァァァァ!!」


めっめ捲りやがったァァァ!


「何すんでェェェ!」


後ろに後退ると、顔を逸らしてる阿伏兎さんと何事も無かったかのように立ってる神威がいる。


「たまには可愛い鳴き声が聞きたいナ」


まだ言うのか!
コイツ野外プレイの趣味があるんじゃねェの!?


「…今食べちゃ駄目?」


何を!?


「駄目だ」


阿伏兎さん?すっかり神威の保護者ですかィ…?

このアンテナ、なんとかしてくれィ…。




*・*・*・*・
人気投票篇読んだら書きたくなりました。阿伏兎さん難しい…。
せっかく総羅ちゃんがチャイナ服着てんのに途中から身長の話しに(笑)
いつか書き直したい。

*・*・*・*・
やっと書き直せました!
これアップしたの1ヶ月前ですね。
時の流れは本当に速いです。昨日のことのように覚えているのに。
うちの総羅ちゃんは相変わらずエセ江戸弁。




*20111107
*20111206

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ