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□愛の調教部屋
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「あ、あのー…」
控えめに開けた保健室のドアの向こうにいたのは、沖田くんでした。
愛の調教部屋
授業中の保健室には周囲から切り離されたような静けさが流れていた。
「沖田くん、なんでここに…?授業は?」
「んー、なんとなく?それより、みょうじさんはどうしたの?」
「え、あ、あのー、少し頭痛がして…」
沖田くんは隣のクラスだ。女の子からとっても人気のある彼は学年ではほとんどの生徒に名が知れている。
そんな人気者の彼が私の名前を知っていたことに驚いた。
「そうなの?それは大変だ。早くここに座って」
「あの、保健の先生は…?」
「ん?今はちょっといないんだけどね、大丈夫。僕ってばよくここにいるから、薬がある場所とか知ってるんだ」
「そ、そうなんだ」
「ほら、座って?」
にこにこしながら座るように促している沖田くんの前にあるキャスター付きの椅子に座ると、背筋がゾクリとするのを感じた。
これは頭痛のせいなのか、いや違う。だって…
「ちょっと手、出してみて?」
沖田くんは、笑ってない。いや、一見すれば笑っているように見えるのだけど、なんというか…目の奥が笑っていない気がするのだ。
「あ、あの…私は薬を…」
「うん、薬をあげるから。ね?」
沖田くんが薬を持っている素振りはない。なにか危ないニオイがする。なのに、私は狂気に染まったような笑顔から目が離せなくなっていた。
「そう、いい子だね」
「…」
優しく、壊れものを扱うように私の手をとった沖田くん。なにをされるのかわからない不安の中、思った以上に丁寧に扱われていることでどこか安心していた。
「…ッ!」
私の手が沖田くんの両手で包まれたかと思った時、指先に痛みを感じた。
思わず引っ込めた手のひらを見てみれば、人差し指の先から小さな赤い玉がプクリと溢れてきた。
「…ッな、なにこれ」
「痛かった?でもお陰で、頭痛は紛れたでしょう?」
そう言った沖田くんは手芸用の針を私に見せた。あの笑顔で、にこにこ笑って。
「こ、来ないでッ…!」
後ずさる私にズイと迫る沖田くんは真顔になって、私の顔を覗き込んだ。
「ねぇ、痛かったの?」
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