short.

□年下のおとこのこ
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「なまえさん、一緒に帰ろ?」


下校のチャイムが鳴って間もない教室はざわついていた。まだ残っている人が多いこともあるけど、3年生の教室に1年生が1人で来ることは滅多にないことだ。


…沖田総司を除いて。


「沖田くん、部活じゃないの?」


「休みだよ、雨だし」


確かに外は雨が降っている。少し前から降りだした雨にどうしたものかと項垂れていたところだった。


止むどころか強くなってきた雨に、私に残された選択肢は2つ。ずぶ濡れになって帰るか、沖田総司の傘に入れてもらうか。


「沖田くん、濡れてるよ」


「いいよ、なまえさんが濡れなければ」


「風邪ひくよ」


「大丈夫。なんとかは風邪ひかないから、ね?」


ね?って…それこの前も聞いたけど。


「剣道部は雨関係ないでしょ。サボりめ、土方先生に…」


「あ、僕ん家ここだから。傘、明日返してね」


そう言って私に傘を渡すと、沖田総司は自宅に入っていってしまった。

 
「…お礼、言ってないや」


握った傘の柄がほんのり温かった。



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