short.

□年下のおとこのこ
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「なまえさん、隣いいでしょ?」


「げ…」



年下のおとこのこ
沖田くんver.




「なにそれ。あ、向かいの席の方がいいとか?」


沖田総司。なぜか私に引っ付き回っている高校1年生。


食堂、廊下、通学路。至るところに現れる。これはもはやストーカーの域だ。とりあえず、1日3回見ない日はない。


ちらりと隣の席を確認すれば、沖田総司はもくもくと口を動かしている。さすがに食事を中断してまで追いかけては来ないだろうし、さっさと教室に戻ってしまおう。


「とゆーことで、ごちそうさま」


「あ、待って。なまえさん、まだ残ってるよ」


「は?全部食べたし!何言って…」


いつの間にか私のトレーに大量のネギが乗っている。


「なにこれ」


「ネギだよ」


いや、それはわかるけど。どう考えても私のネギじゃないよ!沖田総司のネギだよね!?

 
「僕、ネギ嫌いなんだよね」


「じゃあなんで焼き鳥定食にしたの?ねぎまのネギだけ私に押し付けないで」


「まあまあ、座りなよ」


先輩に向かって座りなよって何!?あなた1年生!私3年生ィィ!!


「沖田くん…ネギ食べないと風邪ひくよ」


「大丈夫。なんとかは風邪ひかないって言うし」


「ああ、なるほど。もぐもぐ」

あ、このネギおいしいな。いや、焼き鳥のタレがおいしいのか。でも濃い味ってなんか喉が乾くんだよなあ。


「もーらいっ」


「あ!?ちょっと!」


私の喉を潤す為の聖水が沖田総司に奪われた。あ、いや、別にただのミネラルウォーターだけど。


「返してよ」


「はい」


意外にもすんなり返ってきた私のミネラルウォーター。なんだか拍子抜けした。沖田総司…訳のわからない奴。


「飲まないの?」


「飲んでいいの?」


なにその心底驚きました的な顔。私ってそんなにケチに見えますか。


「水くらい別にいいけど、また買うし」


飲む為に奪ったんじゃないの?ああ、アレか?嫌がらせか?そうこう考えているうちにペットボトルは再び沖田総司に奪われた。

 
ごくり、と沖田総司の喉が鳴る。その間も視線は何故かずっと私を捉えていた。


「…なによ」


「間接キス」


「…っ」


なにそのドヤ顔、イラッ。


「バッカじゃないの…」


私が睨み付けたって沖田総司はにこにこ笑ってる。


居心地悪い。早く教室戻ろ。



「ネギ食べてくれてありがとう」


後ろで沖田総司の声がした。



…なんで恥ずかしくなってんだろ、私。



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