story.
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「は…やっと終わった。そっちはどう?」
「こいつで、最後だ」
そう言ってはじめは、地面に剣を突き立てた。
シュウウゥ…と蒸発するような音と共に息絶えたのは、虫に憑依した悪魔。
1匹なら人間に危害を与えることのない下級悪魔なのだけど、集団になられるとやっかいなのだ。
ここ最近の、野良犬の変死はきっとこいつらの仕業だ。
人間に被害が及ぶ前にと駆り出されたのが、私とはじめだった。
悪魔という存在は、今の世界では信じられていない。一部の人間を除いて、だけど。
私達は、代々祓魔師(ふつまし、またはエクソシスト)の家系に生まれ育った双子。
この世に命を受けた時から、私達は祓魔師になるという運命だった。
古の世界には、魔法というものが存在していた。生まれもって特殊な力を宿した一部の人間にしか使うことのできなかった魔法は、いつしか悪魔と契約した証だと恐れられ魔法を使った者は有無を言わせず処刑された。
その後、科学が発展して魔法は迷信として今の世に伝えられている。
しかし、それは違った。魔法と呼ばれていたその力は、退魔法でもあった。
つまり、悪魔と契約などしていないのだ。それは生まれもった力なのだから。
処刑を逃れて、ひっそりと生き延びたいくつかの血筋が祓魔師として今も悪魔と戦っていた。
そのひとつが、私達が生まれた斎藤家だ。
私達は幼い頃から両親の元で修行を積み重ねてきた。
中学に入学したと同時に二人揃って与えられた正式な祓魔師の資格。資格には階級があって、高校3年になった私達はやっと中級の資格を得ていた。
この資格に見合った退魔の依頼がある度に、私達は二人で出向いていた。
ただ悪魔が見えるというだけで、普段は他の子となんら変わらない生活を送っている。
「なまえ、またそんな点数をとったのか」
「いいの!私は祓魔師として生きていくんだから。別に大学行きたいわけじゃないし、」
ちら、と見えたはじめの点数は94点だった。あ、私の点数と合わせたら100点だ…って、そんなことに感心してる場合じゃない!
どうして双子なのに、学力にこんなに差があるのか…でも、退魔の力量が互角なのはせめてもの救いだった。
そこでも著しく劣っていたとなれば、双子の兄と比べられて周囲にはきっと哀れな目で見られていただろう。そうなれば、私は何をして生きていけばよいのか解らなくなる。
そういえば、双子なのに私達の容姿は全く似ていない。母の話だと、二卵性双生児ということらしいけど私には気になることがある。
欧州系の祓魔師の血筋が混じった斎藤家には私も含め髪の色素が薄い人が多い中、はじめの髪だけは深い黒だった。
それでも、私達が血の繋がった双子だということは変わらない事実。同じ誕生日に、同じ左利き。
そしてなにより、生まれる前から一緒だったのだから。