story.
□かぐやひめ
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昔々、あるところに沖田総司という若者が住んでいました。
沖田さんは山から竹を取ってきて、器用に篭を編んだり竹細工を造ったりしました。
そしてその竹細工を都に売りに行きます。
沖田さんの売る竹細工はとても評判が良く、沖田さんは"竹取の沖田"と呼ばれました。
ある日沖田さんが山に竹を取りに行くと、一本の竹の根元が輝くように光っています。
「不思議な竹だなあ。どうして光っているのかな?」
沖田さんは早速、腰に差していた刀で竹を切ってみました。
シュンッ!と刀を一振りすると竹はスパッと切れ、中から手のひらサイズの可愛らしい女の子が現れました。
「なにこの可愛い生き物。」
沖田さんは小さな女の子をそっと抱き抱えると、上機嫌で家に帰りました。
「この子は頑張ってる僕へのご褒美だね。そうだ、君は今日からなまえだよ」
沖田さんは女の子を"なまえ"と名付け、大事に育てました。
なまえはすくすく育ち、とても可愛らしい娘になりました。
沖田さんは上等な着物をあつらえなまえに着せると、この世で比べるものがない程美しくなりました。
「なまえ、君はずっと僕のものだよ。」
「はい、沖田さん。ありがとうございます。」
沖田さんは竹細工を町へ売りに行くときはいつもなまえを連れて行きました。
可愛らしいなまえは人目をひき、元々評判の良かった竹細工はさらに売れるようになりました。
町の人々は皆、男前の沖田さんにお似合いの娘さんだと言って、なまえの評判は村から町へ、町から都へと伝わって行きました。
そして身分の高い四人の男が沖田さんとなまえの元へと訪れ、一斉に「なまえさんをお嫁さんにいただきたい!」と言いました。
沖田さんは「うるさいなあ。なんで君達になまえをあげなきゃいけないわけ?目障りだから早く消えてよ」と言ってにこっと笑ってみせましたが、目は全く笑っていません。
それでも四人の男はめげずに「なまえさんをお嫁に!」と言い続けています。
騒ぎを聞き付けてやってきたなまえが、襖を開け顔を覗かせました。
「なんて可愛らしいんだ…やはりなまえさんに相応しい男は自分しかいない!」と一人の男が言うと、次々に「いや、自分のほうが相応しい!」と言い争いを始めました。
「ねえ、君達いい加減にしてくれない?君達がどんなに頑張ったって無駄だよ。なまえは僕のものだから。でも、言ってもわからないみたいだし、身体で教えてあげるよ」
黒い笑顔の沖田さんに四人の男は一瞬狼狽えましたが、「挑むところだ!」と勝負を受けて立ちました。
――――決戦の場は土方道場。
沖田さんは当たり前のように真剣を手にしていましたが、なまえに止められ「つまんないなあ」と言いながらもしぶしぶ竹刀に持ち替えました。
「誰からでもいいよ。何なら四人一斉に相手してあげようか?」
沖田さんが挑発すると、
「冗談じゃねえ!男は黙ってタイマンだろーッ!」と藤堂平助が飛び出しました。
しかし、藤堂の渾身の一撃はさらりと交わされ、沖田さんは容赦なく顔面に竹刀を打ち込みました。
「めーん!…どくさ」
藤堂は鼻血が止まらなくなり、走り去っていきました。
そこへ、永倉新八が出てきて「あんなチビと一緒にしてもらっちゃあ困るぜ!」と自信ありげに竹刀を構えました。
沖田さんは「少しは楽しませてよね」と口元を歪め、一気に間合いを詰めると、目にも止まらぬ速さで永倉の喉に竹刀を突き付けました。
「ぐえっ」
永倉はその場に倒れ戦闘不能となりました。
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