あの日々とは程遠く。

□その忌まわしきもの
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「……という、私の魔法少女としての経緯。でも、最低よね、実の妹の記憶を消す、なんて」

止まない涙。
あの時のように、弱くなっている。

「シアさん…だっけ」

「……うん」

「その人、どうして亡くなったの?やっぱり、魔法少女の末路は…死なの?」

マミが質問を繰り返す。
魔法少女の末路は…。

「……、うん。私達には、死しか…」

といって、目を反らす紅葉。
実をいうと、この時、紅葉は嘘をついた。
どんな嘘かは、また後のお話で。

「だから、水樹ちゃんと魔法少女を引き離したかったのね」

「…そうなるわ。ごめんね、あの時、キツく言って」

「気にしてないわ。謝らないで」

「あの、紅葉さん」

「どうしたの、さやかちゃん」

「水樹は、親の存在事態、知らないんですけど…水樹に、何て説明したんですか?」

直球な質問を飛ばすさやか。

「水樹には、親のことは何も言っていないし、聞かれてもいないわ」

「「…え?」」

見事に台詞が重なるマミとまどか。
二人は、顔を見合わせ、さらに驚いた。

さやかも、言葉になっていないが、かなり驚いている。
でも、当たり前なのだ。
親のことを知らない子供は、きっと世界中探しても見つかるものではない。

「あの子ね、親の話をすると、発作を起こすの」

「発作を?」

「うん。倒れたり、呼吸困難になったり。だからもう、諦めたの」

その瞬間、扉がガチャンと勢いよく音をたてて開いた。

「おいっ!水樹が倒れたがどういうことだマミ、紅葉!」

「佐倉さん?!」

「水樹っ!!」

駆け寄る紅葉。
水樹は動かない。
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