あの日々とは程遠く。

□消えた人
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死んで、しまおうか。

その言葉が合図に、辺りが変化した。
何かに、囚われてしまったように。

辺りには、囚人用の檻があり、何やら不穏な息がした。

紅葉は、すぐに正気を取り戻し、辺りを見回した。

「…ここ、あの時の?シアさんと、出会った…」

以前キュウべぇが言っていた。
魔女も使い魔も、結界を持つと。

「水樹、水樹!!」

「お姉ちゃ…ん、お姉ちゃん!後ろっ!!」

「えっ…?きゃああっ!!」

後ろから振り落とされた斧。
当たる…と思ったら、人影が見えた。

「また厄介に巻き込まれやがって…ったく、しょうがないなぁ」

それは、見覚えのある人。
というより、ついこの前出会った、シアだった。

「し、シアさ……」

「妹抱えて逃げろ!危ないから!!」

そう言われて水樹を見ると、どうやら気を失ったようで、ぐったりとしていた。

そして、言われるがままに逃げた。

「ねえ、紅葉」

「き、キュウべぇ!」

また、肩にちょこんと乗ってくる。
少し位、空気を読めないのだろうか。

「あれから、考えてくれた?魔法少女のこと」

「!…うん」

立ち止まる紅葉。

その目には、決意が見えた。

「そう。後で、その答えを聞かせてもらおうか」

キュウべぇの瞳が、妖しく光る。
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