あの日々とは程遠く。

□気づいたこと
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赤毛の魔法少女、佐倉杏子が来てから、1週間がたった。
紅葉は、いつも通り学校にいた。
三年生の教室。

「おはよう、橋本さん」

「うん、おはよう巴さん」

ここ1週間は、平和な日常が続き、佐倉杏子も目にかかることは無かった。

しかし、そんな平和な日常が続く中、紅葉の心は悩みや後悔で押し潰されていた。

「ね、ねぇ、橋本さん」

「?どうしたの?」

「そ、その…これからは、名前呼びにしない?なんて…」

もじもじしながら言うマミ。
それに驚いて、クスリと笑う紅葉。

「ふふっ…うん、いいよ?…マミ」

「あ、ありがとう…紅葉」

目を合わせて笑う二人。
紅葉の心は、少しだけ、明るみを持った。

「あの…紅葉?」

「どうかした?」

「暗い話で悪いんだけれど、何でこの前逃げたの?」

「!!」

マミは、ずっと気になっていた。
どうして、魔法少女になったのかを。
そして、どうしてそこまでして隠すのかを。

「………ごめん。それは、友達のマミでも、…言えないこと」

「そう、なのね。うん、わかったわ。ごめんなさい」

マミは、無理に詮索はしなかった。
無理に詮索して、傷つけたくなかったから。

「でも、きっといずれ話す。それまで、待って」

「もちろん。話したくなったら、何時でも言ってね」

なんて優しいんだろう。
紅葉は感動していた。

―――あぁ、やっぱり、友達は大切だな。
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