男子高校生の日常

□男子高校生と文学少女
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ヒデノリは川原で一人、本を読んでいた。



(………風が強くてまったく読めねぇ。
失敗したな、川原で本なんて読むんじゃなかった。)



「!」



場所を変えようとヒデノリが起きあがる。
その後ろにはロングの黒髪が印象に残る女子が立っていた。
彼女はそのままそこに座る。



(…き、気まずい!何?なんだ?誰だ!?
なんで無言なんだ。
こんなクソ広い川原でわざわざ俺の隣に座っといて!
なんの用か知らんが、やっぱり声をかけるべきなのか。
いや、でもなんで?
とにかく、女の子に気の利いたセリフなんて俺言えねーよ!)






【夕焼けが綺麗ですね。】






(いかんいかんいかん。
そんなありきたりなセリフ、この状況に合わないッ!
……そう、この状況。
夕日に染まる川原で孤独に本を読む少年と出会う幻想的なシチュエーション!
たぶんこの人、ロマンチックで非現実的なボーイミーツガールを期待してるのでは…)



チラリと少女を見ると、彼女はそわそわしていた。



(…………どうもそんな感じだ!
…となると、イカした言葉だな…。
だいたい俺は友人二人がバイト…それプラス同居に…居候が自分の日用品買うのに忙しく、暇だから一人で読書してるだけであって、なんの設定もない普通の少年ですけど。
むしろ、日用品買いに行ってるゆきなの方がトリップしてきたっていう設定があるんですけど。
まあいい…とにかく彼女の期待を裏切るわけにはいかん!
飛ばすぜ、すかした言葉を!)



「今日は……風が騒がしいな…。」



(いや………なんか死にたくなってきた。
なんだこりゃ、恥ずかしいとかそういうのではなく、なんかこう…死にたい。
こりゃあ、やっちまったか…)



わなわなと必死に笑いをこらえている少女。



(いや、嬉しそうだ!
ちょっと精神が崩壊しかけたが言ったぞ!さあどう返す!?)



少女は髪をかきあげながら、ヒデノリの方を見た。



「でも少し…この風…泣いてます。」



(あはははははははははははは!
おもしれーわ、この人。)
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