劇台本

□僕たち魔法の時計屋さん
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『僕たち魔法の時計屋さん』

時計屋さん 2人
生徒(セリフの変更や人数、性別の変更はいくらでも可能)
A:抜けている
B:気が強い
C:まじめ
D:お調子者
?12:声だけの出演
先生 2人

道具
時計(針が動く仕掛けだと尚良し)
机、椅子4つ
教卓と黒板(ホワイトボードでよし)

舞台の幕は閉じた状態で、舞台前に出てくる

時A「やぁ、こんにちは。僕たちは魔法の時計屋さん。魔法の時計を売っているのさ。」
時B「見て、この時計。僕たちの自慢の商品さ! この時計があれば、いつでも、どこでも、好きな時間に動かせるんだ!すごいでしょ?」
時計の針を逆に回してみせる)
時A「でも、僕たちの大事な時計、一つ無くしちゃったんだよね。どこに行ったんだろう」
時B「困ったなぁ。僕たちの大事な時計、早く見つけないと大変だ」

舞台袖から声が聞こえる(マイク等が適当)

A「あーあ、またこんな点数とっちゃったよー・・・」
B「うわ、これはひどいな・・・」
A「どうしよう・・・時間が戻ってくれればなぁ・・・」

時A「おや?誰かが僕達を呼んでいるみたいだ。」
時B「それじゃ、僕達は行くね。チクタクチクタク、時間よ戻れ!」
(時計の針を逆に回しながら舞台袖に退場。同時に幕が開く)

舞台には机と椅子が並べられている。
全員の顔や姿が見えやすいように斜め前に向けて配置する。

A「どうしよう・・・時間が戻ってくれないかな・・・」
B「何言ってんのさ。そんなことあったら誰でも100点取れるって」
C「そんな事言う暇があったらちょっとでも勉強したほうがいいって」
A「う・・・そうだけどー・・・昨日は、先生が突然『よーし!今日は抜き打ちテストやるぞー! なんて言うから、準備ができてなかっただけだもん」
D「A、前にもそんなこと言ってなかった?」
A「あーあ・・・お母さんにまた怒られちゃうよ・・・」

(Aがうなだれていると、舞台袖から先生が出てくる。)

先A「ほら、席について!授業を始める時間だぞ」
B「え?ちょっと先生、まだ休み時間だよ?」
先A「ああ、どうやら電池が切れたようだな。これじゃあ困るから、代わりの時計を持ってくるよ」

(舞台袖に先生が引っ込む)

D「代わりの時計だってさ。A、もしかしたら時間が戻せたりしてね」
A「もー、あんまりからかわないでよ」

先生が戻ってくる。時計は時計屋さんが持っていたものと同じ

先A「あったあった。変な時計だが、使えないことはないだろう。とりあえず、授業が終わった後に時刻を合わせるとしよう。一時間だけ我慢してくれ。それじゃあ、授業を始めるぞ」

暗転
チャイムの音が鳴り終わり、電気を点ける

先「それじゃあ授業は終わりだ。A、時計の時間を休み時間のうちに合わせておいてくれるか?」
A「はい、わかりました」
先「よろしく頼む。それじゃ、俺は次の授業の用意があるから」
A「C、今何時かな?」
C「二時間目が始まる前だから、xx時xx分だよ」
A「ありがとう!えーっと、xx時xx分ね・・・あれ、戻しすぎたかな?」

Aが巻き戻し終わると電気が消える(BGMがあると良い)
スポットライトで照らしながら、色をぐるぐる回す
回し終わると電気を点ける

A「よし、これで大丈夫かな・・・ってあれ?私何してたっけ?」
B「ちょっとA、その時計何?」
C「もう授業始まるよ、早く席につかないと」
A「あ、うん・・・」

時計を前教卓において席に着く

D「どうした?」
A「あ、ううん、何でもないの」

先生登場

先A「ん?この時計は誰のだ?」
B「教室の電池が切れたからって、先生が持ってきたんじゃん」
先A「ん?そうだったか?」
B「あ、あれ?そうだったっけ?」
先A「確かに、言われればそんな気がするな まあ、時計のことは置いておいて、今日は抜き打ちテストをやるぞー!」
A「えー、先生、今日も抜き打ちテストですか!?」
先「何を言ってるんだ?今日が最初だぞ?」
A「あ、あれ?そうでしたっけ?」
D「ちょっと、AもBも、さっきからどうした?」
C「何かおかしいよね」
A「う、うーん。何でもない・・・と思う」
先A「さあさあ、テスト始めるぞ」

先生テストを配る

先A「それじゃあ始めだ」

テスト用紙を裏返すと同時に暗転
チャイムがなると同時に電気を点ける
この間に、時計の針を授業終了の時刻に合わせておく

D「まさか抜き打ちテストだなんてねー」
C「まあ、日ごろの勉強をきちんとしていれば大丈夫でしょう」
A「そ、そうだよね!」
B「あんたは大丈夫な気がしないなぁ」
A「う・・・私だって、やればできるよ!」
D「あ、今何時かな」
C「えっと・・・xx時ね。そろそろ帰ろう」

全員が雑談をしながら退場
全員が去ったら時計屋が登場する

時B「あ!僕達の大事な時計、こんなところにあったのか!よかったよかった。」
時A「だけど、一体誰が時間を動かしたんだろう。おかげで時計を見つけられたけど、もう僕はお腹がいっぱいになってしまったよ」
時AB「うーん・・・」

そこへAがやってくる

A「いけないいけない、忘れ物しちゃった。私ってすぐに忘れ物をするんだよね」

Aが二人を見て立ち止まり、呆然と立つ

A「えっと・・・どちら様ですか?」
時B「君がこの時計を動かしたのかい?」
A「え?・・・っと・・・その時計、あなたたちのもの?」
B「ちょっとー!A!遅いよー!なにしてんのー!」

BCDが登場する

B「・・・A、その人達、誰?」
D「見るからに学校の関係者ではなさそうだけど」
C「不審者なら早く先生に言いに行かないと」
時A「挨拶が送れたね。やぁ、こんにちは。僕たちは魔法の時計屋さん。魔法の時計を売っているのさ。」
D「ますます怪しそうな香りがするね」
時B「見て、この時計。僕たちの自慢の商品さ! この時計があれば、いつでも、どこでも、好きな時間に動かせるんだ!すごいでしょ?」
B「あ、さっきAが持ってた時計と一緒だ!」
時A「この時計を動かしたのは、(Aを見ながら)君かい?」
A「た、多分そう・・・です」
時B「これはこまったなぁ」
時A「こまったなぁ」
A「私、何かその時計にしましたか?」
時B「君がこの時計を動かして、時間を戻してしまったのさ」
A「えっ!?」
D「本当にAが巻き戻しちゃったのか!」
B「ちょっとちょっと、何言ってんのさ。そんなことあるわけないじゃん!」
C「現実ではありえないね・・・」
時A「本当さ!僕たちがこの時計を見つけられたのも、Aが時間を巻き戻してくれたからなのさ。」
時B「だけどそのおかげで、僕達はお腹がいっぱいなのさ」
B「あーもう、ちょっとまってよ。まずあんた達は何?」
時A「僕たちは魔法の時計屋さん。魔法の時計を・・・」
B「(時Aの言葉をさえぎって)それはさっき聞いたって!で、何?これがそのあんた達の言う魔法の時計ってことなの?」
時B「そう!これは僕たちの大事な商品なのさ」
C「商品って・・・こんな時計、買う人いるの?」
時A「う・・・それは、まだ買った人はいないけれど・・・」
時B「でも、効果は本物さ!」
D「うさんくさいなぁ。ね、早く帰ろうよ。こんなのに関わってたら面倒な事になるだけだって。」
C「それもそうだね。早く帰ろう」
B「ほら、A、帰るよ!」
A「え?あ・・・うん」
時A「ちょ、ちょっとまっておくれよ!」

ABCD退場 時Aは追いかけようとするが時Bが引き止める

時B「まあまあ、彼らもいつか気がつくさ」
時A「そうだね。きっとすぐに、この時計を買ってくれるさ」
時B「この時計、このまま一つ置いていくかい?」
時A「うん、そのほうが良さそうだ。そうしよう」
時B「それじゃあ時間を明日に進めよう!」
時A「よし、行くよ! チクタクチクタク、時間よ進め!」

暗転 スポットライトぐるぐる
ぐるぐるが終わると時A、Bは退場
電気が点く前に、BCDは教室にいる

B「それにしても、昨日の奴らは一体なんだったんだろうね?」
C「さぁ・・・まあ、二度と関わることはないでしょ」
D「あ!ちょっと見てよ!時計、まだあのままだよ」
C「本当?ということは、あの人達がまたくるってこと?」
B「まさか。たぶん昨日見たのは気のせいだよ。私たち、テストで疲れてたんだって」
D「それは・・・ちょっと重症だねぇ」

A、走って登場

A「お、おはよう!」
B「A、また寝坊?」
A「う、うん・・・多分」
C「多分?」
A「私、昨日帰ってからの事まったく覚えてなくて・・・ただ、すごく眠かったことは覚えてるんだけど・・・」
D「そういえば、帰ってからのこと、私も覚えてないなぁ」
B「あ、あれ?そういわれれば、私もすごく眠かったことしか覚えてないかも」
C「私も・・・」

チャイムが鳴ると先生B登場

先B「本日はA先生が風邪でおやすみのため今日の授業は自習になります」

全員席に着く

先B「では、自習の前に先日の抜き打ちテストの結果をA先生から預かっていますので返却します」

テストを返しながらセリフ

先B「では、Aさん」
(A、がっくりする)
先B「Bさん」
(B、首をかしげる」
先C「Cさん」
(C、満足そうにうなずく」
先D「Dさん・・・テスト用紙に落書きはしないでくださいね?」
D「はぁーい」
(D、テスト用紙を見ずに席に戻る)

先B「では、みなさん、静かに自習をしてくださいね」

先生B退場

A「あーあ、またこんな点数とっちゃったよー・・・」
B「うわ、これはひどいな・・・」
A「どうしよう・・・時間が戻ってくれればなぁ・・・」
B「何言ってんのさ。そんなことあったら誰でも100点取れるって」
C「そんな事言う暇があったらちょっとでも勉強したほうがいいって」
A「う・・・そうだけどー・・・昨日は、先生が突然『よーし!今日は抜き打ちテストやるぞー!なんて言うから、準備ができてなかっただけだもん」
D「A、前にもそんなこと言ってなかった?」
A「あーあ・・・お母さんにまた怒られちゃうよ・・・」
B「・・・なんかさ、この会話、前にも聞いたことがある気がするのは私だけ?
C「私も聞いたことがあるような」
A「え?そ、そういえば私も・・・」
D「・・・もしかして!(ひらめいたように)、あの時計の仕業とか?」
B「まさかぁ!」
時A「(舞台袖からマイクで)そのまさかさ!」
C「だ、誰?」

時AB登場

時A「おや?もう忘れたのかい?昨日あったばかりじゃないか」
時B「時間で言うとついさっきだけれどね」
A「どういうこと?」
時A「僕たちが、この魔法の時計で時間を進めたのさ!」

全員沈黙

時B「さては・・・まだ信じてくれていないね?」
C「そんなもの、にわかに信じられるわけないでしょ」
D「そうそう。私たちは覚えてないわけだし」
B「そこまで言うなら、実際にやって見せてよ」
時A「そこまで言うなら、見せてあげよう」
A「ちょっと、みんな落ち着いてよ」
D「まあまあいいじゃん。本当なら面白いし!」
時B「それじゃあみんな準備はいいね?」
時A「みんな僕につかまってね。それじゃあいくよ!
   チクタクチクタク、時間よ戻れ!」

電気が消え、スポットライトぐるぐる
全員あわてて時計屋に捕まりに行く

時A「それじゃあ君たちを、テストを返す時の時間におくってあげる!」

スポットライトぐるぐるが終わると時ABは退場
ABCDはいつの間にかその場に倒れている
この間に、教室の時計も授業開始時刻に合わせる
時ABが退場し終わると電気をつける

A「うーん・・・みんな大丈夫?」
B「私は大丈夫・・・」
C「私も」
D「どうやら、今度は全員覚えてるみたいだね。」
B「ということは、今日は昨日ってこと?」
A「ええっと・・・今日が昨日で昨日は二日・・・前?」
D「ああ、こんがらがってきた!これが時差ボケってやつ?」
C「違う違う。とりあえず、今日はテストが返される日ってことでいいのよ」

チャイムが鳴ると先生B登場

先B「本日はA先生が風邪でおやすみのため今日の授業は自習になります」
B「あの時と同じだね」
先B「どうしました?」
D「なんでもないです!
先B「では、自習の前に先日の抜き打ちテストの結果をA先生から預かっていますので返却します」
先B「ではまず、Aさん」
先B「Bさん」
先B「Cさん」
(全員無反応で席に帰る)
先B「Dさん・・・」
D「落書きですよね、もうしませんから」

先B「では、みなさん、静かに自習をしてくださいね」

先生B退場

D「どうやら時間を戻せるのは本当だったみたいだね」
B「テストの結果も、前にやったのと同じだね」
C「本当に時間が戻るなんて・・・」

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