劇台本

□はりこの幸福
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登場人物

幸福実現党男
幸福実現党女

父(いなくてもよい)


クラスメイトA
クラスメイトB
先生
ニュースキャスター

幕を下ろした状態で、体育館の後ろ側に
正装をした2人がポスターを掲げて立つ

スポットライトが一人を照らす
男「我々は、幸福実現党です!」
女「幸福実現党は、国民であるみなさんの幸福を切に願い、
 みなさんのの幸福を支援します!」

ポスターを持ったもう一人を照らす

男「おやおや?この学校の学園総幸福量は・・・ . %ですね」
女「これは忌々しき事態。幸福でない人が . %もいるではありませんか」
男「我々、幸福実現党の力が足りていないのでしょうか」
女「みなさん、我々幸福実現党を支持していただければ、
 みなさんの学園生活はより良い物になりますよ」

幕が上がり始める

男女「「さぁ、我々幸福実現党に清き一票を!」」

真ん中には四角のテーブルと、椅子が3つある
家族構成は父、母、兄妹or姉妹 (家族でなくてもOK)
家族は観客側(テレビの設定)を見る

姉「だってー。どう思う?」
弟「国民全員が幸せになるなんて、実現できるわけないよ」
母「そうねぇ・・・。一人一人の悩みを聞いてくれるわけでもないし」
姉弟「「はぁ・・・」」
母「どうかしたの?」
姉「あぁー・・・もうすぐテストがあるんだよ〜・・・」
弟「俺も勉強しねーとなー」
姉「あーあ・・・いやだいやだ。テストが終わったと思ったら
 またテストが始まるんだもん」
弟「覚えることも多くなっていくし・・・」



弟「台風は良いよなぁ」
姉「どうして?」
弟「進路決まってるし」

ガクッ

母「まぁまぁ。学生のうちにしかできない悩みよ、頑張りなさい」
姉弟「「はぁーい・・・」」

ピンポーン

父「ただいまー」
母「あら、お父さんが帰ってきたみたいね。夕飯の支度をしてくるから
 それまでしっかり勉強、頑張るのよ」
姉「うん、わかった」

母舞台袖に下がっていく

弟「よし。うだうだ言ってても仕方がないし、勉強始めよう」
姉「ねぇ、  」
弟「何?」
姉「  にとっての幸せって・・・何?」
弟「そうだなぁ・・・今はテストが無くなれば幸せかな」
姉「あたしもー・・・」
弟「あーあ、テスト無くならないかなぁ・・・」
姉「どこかのお偉いさんが無くしてくれない限り無理無理」
弟「だよねぇ・・・お偉いさんでもなんでもいいから
 この願いを叶えてくれる人が現れないかなぁ」

ピンポーン

姉「あれ?誰かお客さんかな」
弟「お母ーさーん!!お客様来てるよー!!」

姉「奥の部屋にいってるのかな」
弟「仕方ない、俺たちが出てみよう」

ピンポーン

姉「はーい」

舞台袖に駆け寄り、袖から二人組みが入ってくる

姉「すみません・・・どちら様ですか?」
弟「あ、姉ちゃんこの二人、さっきテレビで見た人だ!
 確か・・・幸福水銀党・・・だっけ?」
姉「違うって。幸福発電党の方々よ」
女「残念ですが水銀党でも発電党でもありません。
 我々は幸福実現党というれっきとした組織名を持っております」
姉「そうそう実現党。それで、その幸福実現党の方が何の用でしょうか?」
男「それはあなたの方がよくわかっておられるのではないですかな?」
弟「・・・どういうこと?」
女「我々は常に国民の声を聴いております」
男「故に、幸福を求める心は我々に届いております」
女「貴方たちの求める幸福は何ですか?」
弟「別にそんな幸福を求めるとか・・・・あ」
姉「テストが無くなれば・・・って言ったこと・・・とか?」
弟「でもそんなのいいのかよ」
男「もちろん構いません」
女「貴方たちの声は聞き届けました。
 早速我々は貴方たちの幸福の為に支援をさせていただきます」
男「それでは、突然の来訪失礼いたしました」
女「貴方たちに幸福が訪れんことを」

恭しく礼をして去っていく

姉「・・・本当によかったのかなぁ」
弟「あの人たちが本当にできるとも思えないし、ほっとけばいいさ」
姉「うーん・・・まあいっか」
弟「さて、勉強続けよう」
姉「あ、あたしも勉強しなくちゃ!」

暗転

ホワイトボードがステージ右側
机、椅子が各4つ程
朝のHR前で、生徒は雑談をしている

姉「あーあ・・・今日からテストかー」
A「嫌になるよねー」
B「ま、午前中で帰れるんだし、あとはゆっくりできるじゃん」
A「それもそうねー」
姉「こらこら、帰ったら勉強しなさいBよ?」
A「はいはい、  はいつも真面目だなぁ」
姉「私だってテストが無くなればとは思うよ」
B「  でもそんなこと思うんだ」
姉「そりゃあ流石にねぇ・・・」
A「ま、無くなるなんてありえないし、やるしかないって」

キーンコーンカーンコーン チャイムが鳴る
鳴り終わると教師が舞台右側から入ってくる

教「よーし、じゃあ今日は朝のHRを省略して早速テストを・・・
 と言いたい所だが、諸事情により今回の期末テストは無くなった」
A「本当に!」
B「どういうこと?」
教「静かに。 そういうことで、今回は通常通り授業をする
 今日は一旦家へ帰り、午後から授業を開始する。
 全員午後の授業に遅れないようにすること。では、一旦解散」

先生舞台袖に下がる
しばらくの間があってから・・・

AB「「・・・やったー!!」」
A「本当にテストがなくなるとは思わなかったよ!」
B「朝早く来たのが無駄だったけど、結果オーライだね」
姉「うーん・・・でも、どうしていきなり・・・?」
A「そんなことどうだっていいだろ!早く帰ってだらだらしよう!」
B「どうせ授業は午後からだしね!」
A「さっさと帰って二度寝しよっと」
B「何処かに出かけようかなー」
A「  は一緒に帰る?」
姉「あ・・・あたしはもう少ししてから帰る」
A「おっけー。じゃ、また午後からね」
B「じゃあねー」

二人、舞台左側へ去っていく
入れ違うように弟が教室へ入ってくる

弟「姉ちゃん!」
姉「あ、  」
弟「これってもしかして・・・」
姉「あの幸福実現党の人たちの仕業・・・?」
弟「多分・・・でも本当にこんなことできたんだ」
姉「うん・・・」
弟「どうしたんだよ、そんな浮かない顔して」
姉「うん・・・本当にこれでよかったのかなって・・・」
弟「何言ってんだよ。昨日はあんなに無くなれば良いのにって言ってたじゃん」
姉「んー・・・それもそうね」
弟「じゃあ、家に帰ろうか」

と、帰ろうとしたところに幸福実現党の人が現れる

女「どうですか?我々幸福実現党は、貴方たちの幸福を支援させていただきました」
弟「本当に無くなるとは思わなかったよ」
男「それは重畳な結果でございます」
姉「国民の幸福は、我々の幸福でもあります」
姉「あの・・・どうやってテストを無くす事ができたんですか?」
女「それは禁則事項によりお伝えすることができません」
男「平和的に学校側と話し合いをさせていただいたまでですよ」
弟「これって、まだ他にも色々してくれるのか?」
姉「貴方がまだ幸福ではないとおっしゃるならば。」

姉が弟を二人から離して後ろを向く。

姉「ちょっと、やめときなって」
弟「でも俺達を幸せにしようとしてくれているんだよ」
姉「裏で何をやっているかわからないでしょ」
弟「そんなこと別にいいじゃん。俺、し あ わ せ になりたいし〜。」

幸福実現党の方を向いて

弟「俺に彼女をくれるとかってできるのか?」
女「それが他の人も幸福にできるというならば、支援させていただきましょう。」
姉「はいはい無理無理。無理だから諦めて!さ、帰るよ!」
男「では、また私達の力が必要な時は、またお呼びください。」
女「貴方たちに、幸福が訪れんことを。」

暗転(無くても良い)

キーンコーンカーンコーン
午後の授業のチャイムが鳴る

A「あー、よかった。テストもなくなったし、やっと気楽に授業が受けられる。」
B「というか、テスト無いんだし、授業も受ける必要なくない?」
A「確かに!じゃあ今日は絵でもずっと描いてようかなー」
姉「ちょっと、来年は受験だよ。流石に授業はちゃんと受けないと。」
B「はいはい、 は真面目ですねー」
A「凡人とは頭の作りが違うからなー」
姉「違っ、そういう意味じゃなくて!」

キーンコーンカーンコーン
チャイムと共に先生が入ってくる

教「よし、じゃあ授業はじめるぞー」

暗転
自宅のセッティングに戻す

姉「そうそう聞いてよ。」
母「どうしたの?」
姉「定期テストが無くなったんだよ」
母「どうしてそんなことに?」
弟「幸福実現党とかいう人達が無くしてくれたらしいよ」
姉「この前テレビで演説していた人達ね?みなさんの幸福がどうとか」
弟「そうそう。この前お母さんがお風呂・・・」

弟が口を塞がれて口もとに指を当てる

母「お母さんが、何?」
弟「お、お母さんがこの前言ってたマッサージ器具、どうしたの?」
母「あぁ、あれねぇ。高かったからやめたわ」
姉「そ、そうなんだー」
弟「そ、そんなことより、テレビ見ようよ」

電源を入れる動作
ニュース番組を見る

報「では、続いてのニュースです。先日より、ある地域を中心に、学校のテストが廃止されるということが相次いでおります。学校側に実際にインタビューをしてみたところ、すべて学校側の総意であるとのこと。地方自治体は、最近目撃されている、スーツ姿の二人組みとの関連性がないかどうか調査する方針とのことです。」
姉「スーツ姿の二人組って、もしかして・・・」

ピンポーン

母「はーい」
男「夜分に失礼いたします」
母「あら、今をときめく幸福実現党の方達?」
女「本日はあなたのお子さんの方にご報告があって参りました」
母「あらそうなの。ちょっと待ってね」

呼ぶ

姉「何でしょうか」
男「はい。貴方達のご協力のおかげで、我々幸福実現党が次の政権を握ることができそうです」
弟「おぉ!やったじゃんか!」
姉「ちょっと待って」
女「どうされました?」
姉「貴方達が色んな学校のテストを無くして回っているの?」
男「私達の担当はこの周辺なので、他の場所は定かではありませんが、テストだけでなく、様々な面で支援させていただきました」
女「この国に幸福が満ちる時は近いでしょう」
姉「・・・違うと思う」

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