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□あなたを見失う世界
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最近、夢を見る。
真っ暗で何もない世界。
いつかに砂月が言っていた、
那月が表に出ているときに砂月がいるところ。
そんな世界、無。
「デ○ノートを使った人がいく世界みたいな?(笑)」
なんて暢気に考えていた。
「…」
誰も居ない、何も無い世界。
たまらなく不安になる。
怖い、怖い、コワイ。
すると向こうから光が見えた。
そこに立っていたのは、見慣れた愛しい人。
「那月…ッ!!」
名前を呼ばれ、私の方に向く。
那月は少し微笑んで、そのまま光の方へ行ってしまう。
どんなに追いかけても
「那月…!那月!待って!!」
追いつけなくて、
「お願い…待って!」
どんなに名前を呼んでも、叫んでも、
「那月ー!!」
返事をしてくれない。
そしてそのまま、見失ってしまう。
どんなに走っても
光の中に行くことはできない。
「な…つきッ…」
頬に涙が伝う。
「ひなた」
いきなり誰かに名前を呼ばれ、はっとする。
振り返ると、みんながいる。
声の主は聖川様だった。
「みんな…」
「ひなた…もう、さよならだ」
「え?」
私の行けなかった光へみんなが行ってしまう。
「みんな…待って!行かないで!」