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□傷跡に口づけを
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アイドル・作曲家育成校である早乙女学園には、
それなりに実力や才能をもつ人は大勢いる。
しかし、どんなに努力をしても報われない、そんな人物だって少なくない。
そして、そういう人々の苛立ちの矛先に向かうのが、実力をもつ人物。
いわゆる、嫉妬。
翔ちゃんにも、陰で嫌がらせをする人物がいた。
「これくらい、なんともねーよ」
なんて翔ちゃんは笑うけど、私は不安で仕方がなかった。
ある日の放課。
移動教室に向かうため、私を翔ちゃんは廊下を歩いていた。
他愛のない会話をしていると、窓から数人の男子生徒がこっちを見ていた。
嫌な予感がした。
その数人の男子生徒は石を持っているとこに気づいた。
「翔ちゃん、危ない!!」
私が翔ちゃんを庇うのと同時に、窓ガラスが割れ、破片が辺りに飛び散る。
「ッッ!!」
体に強い痛みが走る。
腕からは血が流れていた。
「ひなた!!!」