りりぃのお部屋

□おじさんの好きなソレは、甘いソレ
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「ジャパンは逆の習慣なんですね」
以前にも言われたことがあることを、久しぶりに折紙に言われたのは一昨日のトレーニングセンターでのことだった。
妻は同じ文化圏だったから違和感などなかったし、この両親に育てられた娘もしかり。
妻が亡くなった後に娘以外からというのは義理ですら無く、自分がそうありたいと思った相手もいなかった。
だから、習慣的に逆だったからといって、困ることは全く何もなくて、気にしたこともなかった。
今までは………


「さっきからなんなんですか?虎徹さん」
会社で、自分とバーナビーの間にある袖机に両肘をつき、手は祈る時のように指を組んでいると、バーナビーが痺れを切らしたように突然こっちを向いた。
それもそのはず、考え事をしていた俺は、その姿勢のままバーナビーをガン見していたからだった。
「うん…ちょっと考え事」
「……僕に関係のあることですか?」
考えごとと言われて強く怒れなくなったのか、さっきより少し引き気味で、しかしさっきよりしっかりとこちらを向いてバーナビーに問いかけられる。
「うー……ん」
関係あるかと問われれば、おおいにあるというか、モロにこいつのことだったりする。そのせいで自分でも気づかずに自然に身体がそっちを向いていたわけだし…
ただ、こればっかりは自分から言い出すことは憚られるもので…。
だって考えていることというのはそう、もう今日になってしまったバレンタインデイのことだから。

今までと同じ習慣だったら、何も問題はない。自分からバーナビーへチョコを贈ればいいだけだ。
だが、ここでは習慣が違う。
女性から男性へではなく、男性から女性へ、が普通らしい。
とするとだ………。
いや、男同士だったらどっちだっていいんじゃないの? とか言われそうだけど、これは気持ちの問題だ。
逆に言うと気持ちの問題だから、こっちから贈ればそれでいいんじゃねえの?と言われれば確かにごもっともでそれまでだ。ただ、人には役割というものがあってだな……あー、つまり、その……
つ…突っ込まれる側としてだな、ここの習慣からいくと貰えるんじゃねぇかなあと……
その、期待してもいいのだろうかと。

俺は、バーナビーの綺麗な顔を眺めながら溜息を吐いた。

……ダメか。

まあ、俺としてはこんな些細な行事でも楽しみたいわけで、だからやっぱり俺から贈ろう。
っていうか、実はそう思っててずっと前から決心していた。だからちゃんと用意してきている。
でもさ、やっぱ貰えるんなら貰いたいよなーとか…
というか、用意してくれてないんだったらそれはそれでいんだけど、リクエストがあるんだけどなーとか……
だけどまさか、「俺にチョコくれる気ある?」なんて聞けない。いくら俺でも、さすがに聞けない。
じゃあ一体どうすればいいのだろうかと。密かにリクエストしてみたいソレを自分で勝手に準備していけばいいのだろうか…
「だから、なんなんですか?」
さらにそのままの姿勢でうーんうーんと唸っていると、溜息をついたバーナビーに再び問われた。
気づくと、少し呆れたような綺麗な顔が、すぐそばに来ていた。
「えっあっ、や……」
「なんですか? 正直に言ってください」
考えている内容がというよりも、思いのほか近くに来ていたことに驚いていると、さらにバーナビーがずいと近づく。
今日は経理のおばちゃんが出かけていていないとはいえ、いたとしてもヒソヒソ話ができてしまうくらいの距離。ちょっと顔を突き出せば、キスだってできてしまいそうな距離。
「や、そのぅ……」
その至近距離に、隠しごとなどしてはいけない気分になる。
「もしかして、今日がなんの日かとか、そういうことですか?」
言おうと口を開いたところを、逆にズバリと言われた。
「えー……と、あはははは」
そうだとも違うとも言えなかったが、限りなく肯定に近い返事をしてしまった。すると、目の前の綺麗な顔が仕方がないなというように苦笑した。
「サプライズじゃありませんけど、夜にレストランでもと思ったんですが・・・チョコレートのほうが良かったですか?」
ほんの少しはにかんだように見えるのは気のせいではないと思う。
チョコはないまでも、何か考えていてくれていたことがわかって、それだけで嬉しかった。
「それともなにか、欲しいものがありますか?」
バーナビーは、俺の頭の中を読んだかのように、じっと俺の顔を見ながら首をかしげた。
「あー・・・・・・うー・・・」
言いよどむ俺の頬を、バーナビーがつんつんとつつく。
「・・・・・・あのさ、えーと・・・例えばなんだけどぉ、チョコってさぁ・・・・・・・・・溶かすと、熱い?」
「は?熱いでしょう?」
「や、そうだよな、よなっ!」
当たり前のことを問い、当たり前のことを答えられ、俺は思い切り動揺した。それに恥ずかしかった。自分の考えたことが、あまりにもなんつーか・・・・・・
「AVでもあるまいし」
ぼぞりと呟いた言葉は、しかし近すぎたバーナビーの耳にもしっかりと拾われた。
「何を企んでいるんですか?」
「だっ」
言葉とともに熱い吐息がふわりとかかり、俺は慌てて飛びのいた。つもりだったが、肩をがしりとバーナビーに掴まれてしまい、距離をとることができないどころか、バーナビーの顔がいっそう近づいて、その唇が耳にあたった。
「白状してください」
「・・・・・・う〜〜〜」
「虎徹さん?」
「・・・あきれねぇ?」
「今更?」
「お前なあ・・・」
耳元で、バーナビーがくすくすと笑う。まあ、確かに今更かなあ。
「あのよ・・・・・・おじさんさぁ、ちょっとやってみたいことが・・・」
俺はごくりとつばを飲み込んだ。この至近距離で、きっとバーナビーにも俺のもの欲しそうなその音が聞えただろう。
「バニーちゃんのぉ・・・ち○こに、チョコかけて舐めたいなって・・・」
その途端、バーナビーの身体が少し離れた。うわ、さすがに引かれたかと思っていると、離れたとはいえすぐ傍にいるままのバーナビーが呆れた顔を見せた。
「僕、時々おじさんのことが理解できなくなります」
「いや大丈夫、おじさんはいっつもバニーちゃんのこと理解できないから」
キッパリそう言うと、バーナビーは複雑そうな表情で口を噤んだ。



そして、今に至る。
俺は、仕事の後バーナビーとちょいとお洒落なレストランで食事をし、そのままバーナビーの家に来ていた。

レストランの帰りにスーパーに立ち寄り、少し酒とつまみと、スタンダードな板チョコを買おうとしたときには止められた。
「やっぱ駄目ぇ?」
甘えるように上目づかいで見つめると、顔を赤くしてぐっと言葉に詰まったバーナビーが隣の陳列棚のほうへ行った。
この仕草には弱いはずなのにな? 怒ったのか??
そう思っていると、バーナビーはなにやらチューブのようなものを持ってきた。
「チョコレートソースです、常温で結構とろとろですから」
「えっ、まじ?よくそんなの知ってたな」
「あの後調べたんですよ」
どうやら、オフィスで話をしたあと俺の希望を叶えるべくバーナビーは調べてくれていたらしい。なんというか・・・いろんな意味で、たまんなくイイ男だよなあ。
思わず、顔がニヤケてしまった。


ベッドルームへ行くと、俺はまずは勃たせないとと、いそいそとバーナビーのズボンをひん剥いた。そうして勢いよく下着の中から飛び出したバーナビーのそれは、既にギンギンに漲っていた。
「んほっ! バニーちゃんすんげーその気じゃん」
こんなことを言い出して、萎えてしまって勃たなかったらどうしようと思っていただけに、それを見た俺は嬉しくて取り出すなりぱくんとバーナビーを咥えこんだ。
「当たり前でしょう・・・っく」
「んむちゅっ、じゅっぷ」
夢中でしゃぶっていると、バーナビーがごそごそと何かを取り出して…俺の見えるところにそれを示した。
チョコレートソース。
「いい・・・の、か?」
期待に満ちた顔をしていただろう。どんなヘンタイだと思われてるかもしれない。
しかし、今はそれをしたい気持ちでいっぱいだった。
封を開けて手渡されたそれを掴んで、大きく漲りビクビクと震えるそれに慎重に狙いを定める。
片手で支えて、ホットドックにケチャップをかけるようにチュルルとかけて行く。
「おおお」
自分でかけておいてなんだが、その光景で感嘆の声をあげてしまった。
ベビーピンクのバーナビーのそれに、茶色のチョコレートがとても映える。本人にはとても言えないがその色合いはとても可愛らしくて、いつも自分をめちゃくちゃに翻弄する凶器とはとても思えなかった。
「やっぱ、いいコレ」
俺は、じっくりと隅々見つめると、そっとそこに舌を這わせた。
「んっ」
頭上から甘い声が降ってくる。
舌の上にも甘いものが広がっていく。
それと同時に、バーナビーの味も・・・・・
「ね、虎徹さ・・・」
「んむ?」
ぺろぺろと舐めている俺の頭を、さらりとバーナビーが撫でた。バーナビーを口に含んだまま見上げると、バーナビーが少し恥ずかしそうに俺をじっと見つめていた。
「あの・・・・・・僕も、虎徹さんの・・・・・・したいんですが・・・」
言われて、意味を頭の中で組み立てて・・・
「んっじゅっ」
「うあっ」
思わず強く吸い付いてしまい、バーナビーがたまらないといった顔でのけぞった。
「わ、わり・・・」
バーナビーのそれをまるごと飲み込んでしまいそうな勢いで吸い付いてしまい、俺は慌ててバーナビーから口を離す。自分の唾液なのか、バーナビーの蜜なのか、透明の糸が二人の間に垂れた。
「はぁ・・・出てしまうところでした・・・」
顔を赤くいたバーナビーが、はあはあと息を上げている。かわいい・・・
「んと、じゃあ・・・・・・久しぶりに、スル?」
しっくすないん
その言葉を口に出すのが恥ずかしくて、ついつい小さく呟くと、すごい勢いで押し倒された。上に、バーナビーがかぶさってきて・・・ひんやりとした感触が下肢から伝わった。
「あっ・・・あ、バニーでも俺のにチョコってあわねーし・・・」
既にかけられて遅いのだが、自分のそれにチョコがかかっているのを想像するとグロテスクすぎる。バーナビーのみたいに綺麗なものではないはずだ。
「なあ?」
それを見て、萎えてしまわないだろうか? 嫌にならないだろうか??
どうしようと思っていると、自分のそこが熱い湿ったものに包まれるのがわかった。
「あっ・・・ばに・・・」
「ふふふふ、オイシイ・・・・・・虎徹さんがやってみたかった気持ち、わかりました」
「あっんっ」
今日は自分がたっぷりとバーナビーを味わうはずだったのに!!
これじゃいつもと同じ・・・・・・
負けまいとバーナビーのそれを掴んで舌を這わせる。バーナビーをもっと味わうために。
「ねえ、虎徹さん」
夢中にしゃぶっていると、下肢から声がした。
「こっちにも、勿論ほしいです、よね?」
声とともに、冷たい感触が・・・
「うぇっ」
チューブがチュルリと音をたてて、俺がいつもバーナビーを受け入れるところに茶色い甘いチョコレートを垂らしていくのがわかった。
ええええ、それってビジュアル的にどうよ?!
と、突っ込まずに入られなかったが、それを口にする前にそこにバーナビーの長い指が入り込み
「あっ、あんっ」
甘い刺激に耐えられなくてのけぞったその途端、ぶわりと甘いチョコレートの香りが部屋中に広がった気がした。

これって・・・・・・やってみたかったんだけど・・・
みたかったんだけどっ!!

よかったんだろうか悪かったんだろうか??

そのまま、この身にバーナビーを受け入れて蕩けるような甘い時間をすごしながら、俺の胸中は複雑に揺れていた。

-END-

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