りりぃのお部屋

□ヒメxxx
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「んぅふ・・・あっ・・・」
ブロンズステージの虎徹のアパートメント。
今年も失意半分、諦め半分で虎徹はアパートメントの鍵を開けて帰宅した。
年末年始は実家に帰る予定が、犯罪が増えるこの時期にそれは無謀な話だとはわかってはいた。
毎年のことなのに、今年は帰れるかもと淡い期待を抱いてしまうのはやめられない。
だがしかし・・・
今年も恒例、予想に違わず、大晦日の最後の最後まで捕り物は続いた。
しかもこの時期に増えるのはどういったわけか二軍に要請のかかるようなものばかり。泥棒、ひったくり、コンビニ強盗・・・
年末年始にとかくそういった事件が増えるのは、このシュテルンビルトの明暗を見せつけられているようでたまらなかった。

そうして今年も新年を迎える一時間ほど前に、虎徹はやっと帰宅した。
どういうわけか、バーナビーも一緒に。
どうしてお前も来るんだという虎徹の問いに、ニューイヤーを一人で迎えるなんて寂しすぎると駄々をこねられ、ああそれもそうねとうっかり納得してしまったのが運のつき。
よく考えれば、今までだってバーナビーは一人で新年を迎えていたはずなのに。
だがまあ、明確に恋人となってからの年末年始はどうだったかといわれると・・・そういえばなんだかんだと一緒に新年を迎えていたかもしれない。
それは出動途中であったり、トランスポーターの中だったり・・・つまりは事件で帰れなかっただけなのだが。
「今年はかろうじて年が変わるときには家にいられるしな〜」
まあいいかと家に入り、着替えてゆっくり酒でもと思った虎徹は、家に踏み入る途端に身体が宙に浮くのを感じていた。
そのままベッドルームまでももどかしいと言わんばかりに居間のソファへと運ばれ、服をひん剥かれ・・・
ある程度は覚悟してはいたものの、家に着く早々とは気が早すぎる。
文句を言おうとしたが、バーナビーの唇に封じられ、何も言えないまま翻弄され・・・今に至る。

「あっあっ・・・やぁ、ばに・・・」
裸に剥かれ、ソファに押し倒された体勢で、虎徹は後孔にバーナビーを受け入れていた。
お互い、既に一度足しているのにバーナビーは出て行かず、ゆるゆると虎徹の中を行き来していた。
「ばに・・・しねぇなら、ぬけ・・・よ・・・」
虎徹は自分を抱きしめながら嬉しそうに緩やかに動くバーナビーを、腕を突っ張って引き剥がそうとする。
ゆるゆるとバーナビーが動くたびに、先に中に放たれたバーナビーの白い蜜がぐちゅぐちゅと音をたてるのが、虎徹にはたまらなく恥ずかしかった。
「ダメです…もう少し」
いつもならば、こんなことはしない。
バーナビーは若いだけあって、一晩に一回では済まない事はまあある。だがそうだとしても、いつもなら一度体を離してクールダウンをする。
飲み物を飲んだり、他愛もない話をしたりして、そのままシャワーを浴びて眠ることもあれば、第二ラウンドに突入することもある。
ちょっと激しい時は確かに続けざまにされてしまうこともあるが、そういう時は逆に、こんな風に緩やかな動きではない。
何かをぶつけるように本当に強く激しく求められるから、虎徹としては息つく暇もないというか、考える暇もないのだ。
それが、今日はこの妙な感覚。
焦らされているわけでもなく、嫌がらせなわけでもなく…ただゆるゆると虎徹の中を楽しんでいるような動き。
だが…このどっちともつかない……つまり、行為に翻弄されるでもなく、ただ休んでいるでもない状況は、虎徹にはなかなか辛い状況だった。
バーナビーはただでさえ規格外な大きさだ。
今はまだ少し大人しくなっているとはいえ、それでも単に入っているだけでは違和感極まりない。
大いに刺激されていれば快感を追ってそんなこと気にする暇もないのだが、そうでなければ有態に言って辛い。
快感にすり替わりそうで変わらない、体の奥に残り火はあるがそこには遠く手が届かない。
バーナビーにそんな気持ちは見られないのだが、これではまるで蛇の生殺しだ。
「なあ…たのむから……」
顔から耳から首筋から、あちこちに子供のような口づけを受けながら、虎徹はたまらずバーナビーに泣きついた。
一体なんだというのか。
こんな意地悪をされるようなことをしただろうか。

すると、少しだけ身を起こしたバーナビーがチラリと壁を見た。
何を見たんだ?と、虎徹もそちらに顔を向けた時、虎徹を押さえつけたままバーナビーが虎徹の上でぐっと身を乗り出した。
「んあああっ」
下肢が繋がったままのそこは、動きにあわせてぐいと虎徹の奥深くに潜り込み、思わず虎徹は背をしならせる。
「おまっ…いきなりなに…ぁっ」
文句を言おうとするが、強い刺激に口が思い通りに動かない。
そんな虎徹をよそに、当のバーナビーは何をしているのかと思えば、体を伸ばしてテーブルの上にあったリモコンを手にしていた。
「…な、に?」
「ああほら、丁度ですよ虎徹さん」
リモコンでテレビをつけたバーナビーは、その映像を確認して嬉しそうに虎徹に笑いかけた。
この状況をなんとかしろと言っているのに、突然テレビを見て喜ぶとか意味がわからない。
そもそも、テレビがなんだというのか。
虎徹ももぞりとバーナビーの下で極力刺激がないよう少しだけ体を動かして、テレビ画面に目をやった。
画面には、ちょうどジャスティスタワーの映像。
キラキラ輝く建物の前の広場には、色とりどりのイルミネーションが飾られていてとても綺麗だった。
その周りを、たくさんの人が取り囲んでいる。見上げる先は臨時設置されている大型のモニター。
モニターには数字が映し出されていて、刻一刻と減っていくその数字を、広場にいる人々が一斉に読み上げていて…
ああ、カウントダウンか…もう年が明けるんだなと虎徹はぼんやりと思った。
10、9、8…
いつも慌ただしい年越しだったけど、まさかまともに過ごせそうだった今年はこれかと内心溜息を吐く。
6、5、4…
チラリと見上げると、バーナビーが喜び露わに画面に食い入っていた。勿論まだ繋がったままだ。
2、1…
この状態でニューイヤーもねぇだ…
「んむ?!」
テレビでは、ワアキャアという声の中、金銀のテープや紙吹雪が舞っていた。
年が明けたんだなと思ったその時、虎徹は上にのしかかる男の優しい口づけを受けていた。
「ハッピーニューイヤー、虎徹さん」
その口付けは、この状態で言うのもなんだが官能に訴えるものではなく、優しく柔らかな口づけだった。
バーナビーは心底嬉しそうな幸せそうな顔で、虎徹に微笑んでいた。
「……バ、ニー?」
「一度でいい、この瞬間をこうしてむかえてみたかった…二年越しで虎徹さんとつながってる…」
意味のわからない虎徹に、バーナビーはこれ以上ないというような嬉しそうな笑みを向けた。

これは…
一体どういうことか。虎徹が驚きながらも必死に頭を巡らせる。
驚いてはみたものの、そういやあニューイヤーは年明けのその時に隣にいた人とキスをするってなかったっけ?
あまりうまく回らない頭でぼんやりと考えていると、突然体の芯にしびれが走った。
「んあぁぁっ」
無意識に、背がしなって甘い吐息があふれ出る。
下肢をつないだままのバーナビーが、官能を呼び覚ますように再び動き始めたのだ。
「ばに…やめんじゃ…なかった、のかよ…」
体を震わせながら必死に言うと、虎徹にのしかかり甘い責め苦を続けるバーナビーが、少し得意そうな顔をのぞかせた。
「虎徹さんのヒメハジメ、僕が奪うんです」
「……はぁ? …ぁんっ」
口を開こうとすると、質問よりも喘ぎ声が出て行ってしまい、虎徹は慌てて口を閉じた。
「ジャパン文化を紹介する雑誌の編集の方に聞いたんです、ヒメハジメっていうのがあるって。それでこの先の虎徹さんのヒメハジメは僕が独り占めしようと決めたんです」
そう言い切ると、バーナビーは一層激しく腰を使い始め、虎徹の中にくすぶっていた残り火をいとも簡単に燃え上がらせた。

ヒメハジメって年越しでやるもんじゃないだろうとか
早くったって元旦の夜にするもんじゃねーのとか
受け入れる側ではあるけど、ヒメじゃねーしとか
そもそも今現在、お前意外と体の関係なんて持ってないんだから、ヒメハジメの相手は絶対お前だろーがとか…

言いたいことはあ山ほどあったが、今はどれもいえそうになかった。
虎徹はとりあえず考えることを放棄して、バーナビーの熱に翻弄されることを選んだ。

言いたいことは……とりあえず明日起きて、おせちでも食べながらにしよう。
バーナビーと話す時間は、山ほどあるのだから。

-END-

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