りりぃのお部屋

□虎の発情期
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「ああもう、最悪」
朝からどんよりとした気分で、眩しい朝日の下を会社に向かった。
いくら会うのが楽しみだったからって夢でナニだなんて、バカすぎる。ティーンエイジャーでもあるまいし。
ブツブツと呟きながら会社に着くと、なんとなくいつもの出勤先を見上げる。
ビルの真正面から見上げると、いつもにましてピッカピカ光って見えるのは気のせいだろうか。
「…バニー、もう来てっかな…」
呟いてから、なんだかうきうきしてしまって、それまでのどんよりした気分もどこへやら、俺は足取り軽くオフィスに向かっていた。

「あ、おはようございま〜す」
丁度オフィスへ入ろうとしたところ、部屋から経理のおばちゃんが出て行くところに出くわした。
「おはよう、これから会議で2時間ほどあけるから」
おばちゃんはちらりと俺の顔を見ると、それだけ言ってファイルを抱えて行ってしまった。
「へーい、いってらっしゃーい」
朝から忙しいですねぇ…
なんて声をかけようものなら、賠償金のことで何か言われかねないと、俺はおばちゃんの後姿にヒラヒラと手を振るだけにして、いつものようにオフィスへ入っていった。
プシュンとドアが開いて、いつものように「おはよ〜っす」と声をかけて顔をあげて……そうだったと思い出した。
振り返った笑顔が眩しいと思ったのは気のせいだけではないと思う。
「おはようございます、虎徹さん」
「お…はよ、ばにちゃん」
顔を見た途端、何故か俺は恥ずかしくなって帽子で顔を隠し気味に席に着くと、隣から小さな瓶を差し出された。
「なに、これ?」
よく見る、栄養ドリンクのようなそれ。
「先週行っていたスポンサーさんからもらったんですけど、来月虎徹さんと僕とでコマーシャル撮影するドリンク剤です」
言われて、小さな瓶をつまみあげた。
ピンク色の可愛らしいパッケージのそれは、女性向けの飲料なのだろうか。
「“夢をかなえる”?」
印刷されているロゴを読むと、隣でバーナビーがくすりと笑った。
「タイトルはまだ未定らしいですよ、そういうコンセプトだということで、仮名なんだそうです」
なんだかよくわかりませんけどねと、バーナビーが隣で苦笑した。
「へぇ…」
俺は手の中の小さな瓶をじっと見つめた。
“夢をかなえる”……
ラベルを読み返して……思わず頭に浮かんでしまった今朝の夢。

「……いやいやいや、ねえし」
呟いてしまってからはっとした。バーナビーが不思議そうな顔でこっちを見ていた。
「どうかしました?」
「なんでもねぇ、独り言っ」
俺は慌てて自分の机に向かったが、隣から何か言いたげなバーナビーの視線が突き刺さる。
「ほらっ、仕事仕事、さあちゃちゃっとやってトレーニングにでも行こうぜ?」
殊更明るめにそう言ってモニターに向かうと、つられるように一瞬同じくモニターに向き直ったバーナビーが、再びこっちを向いたのが目の端に映った。
「…虎徹さんは、寂しくなかったんですか」
ひとつ、長い溜息が聞こえたと思ったら、バーナビーが悲しそうに呟いたもんだから、つい顔を向けてしまう。
いつも色男なこいつは、俺にしか見せない甘えたような拗ねたような顔で、唇を尖らせて見せた。
…この顔は卑怯だろう。
「僕は一週間あなたに会えなくて、すごくさびしかったですよ? 虎徹さん電話もくれないし…」
「だって毎日遅くまで忙しいって聞いてたし…」
一応気を利かせたつもりのことを咎められ、口を尖らせて言い訳すると、長い手が伸びてきて唇をふにと摘まれた。
「メールも、くれませんでした…」
「それは……お前だって…」
つままれたまま口を開くと、綺麗な指がそのままするりと唇をなぞり口の中に入り込んでくる。
舌を中指で撫でながら甘い視線で見つめられて、朝から身体の中にくすぶっていた熱がじくじくと膿みはじめた。

「ばに…」

俺は、バーナビーの指を振り切って、二人の間にあった袖机の上に膝から乗っていた。
そのままバーナビーの肩を掴んで引き寄せると、椅子のキャスターが軽快に転がってバーナビーの身体がすぐ傍までやってくる。
肩を掴むのと反対の手を首の後ろにまわし引き寄せると、形の良い唇にかじりついていた。
「んっ…」
バーナビーの唇から不意打ちに抗議するかのような声が漏れた。
だが、舌をするりと滑り込ませてやれば、途端に絡めとられて口腔を貪ってくる。
バーナビーの熱い舌が、俺の粘膜全てを奪い取りたいと言っている様に這い回って、ぞくぞくとする。

これだけじゃ、足りない。

これだけじゃ、欲しい気持ちが増すだけだ。

「バニー…」
俺は机から降りると、そのまま椅子に座るバーナビーの膝の上に乗っかった。
バーナビーを跨ぐように乗り上げ身体を密着させると、既に硬くなり始めてる俺のJrがバーナビーの下腹にあたる。
それだけで、腰を揺り動かしてしまう浅ましい自分が恥ずかしいが、もう無理だ。こいつにぶん殴られでもしない限りは止められない。
「ちょ…虎徹さん?」
そのまま服越しに自分のペニスをバーナビーに擦り付けながら、何か言おうとする唇を塞いだ。
甘い甘いバニーちゃんの舌…
がっしり頭をホールドして貪っていると、諦めたのかバーナビーの手が俺の腰を引き寄せた。
角度が変わって俺のがあたる場所が変わる。
「あっ…」
バーナビーの下腹より少し下、固く立ち上がったものを感じさせる熱に当たった。
「ばに…勃ってる?」
唇を離して小さく問うと、バーナビーがほんのり頬を染めて唇を尖らせた。
「当たり前でしょう?」
そう言うと、意地悪そうな笑いに変わったバーナビーの指が、俺の尻を辿る。割れ目をクイクイと弄られ、背中がゾクリと震えた。
「バニー…なぁ」
判断するなら今すぐだ。
おばちゃんがいないのは2時間だけ。判断が遅れれば遅れるほど危険が近づいてくる。
俺はごくりとひとつ喉を鳴らすと、思い切ってベルトをはずし始めた。
「虎徹さん? まさか今ここで??」
「もう無理、我慢できねぇ、お前が欲しい」
カチャカチャと音を立ててベルトをはずすと、立ち上がってズボンをすとんと床に落とす。パンツのゴムに手をかけてふと見ると、ペニスが期待に震えてウエストのゴムを押し上げていた。
「ほら…もうこんなだもん、俺」
それをバーナビーに見せ付けるように腰を突き出すと、ゆっくりとパンツをおろした。
バーナビーと比べれば少々劣るが、平均よりは大きいだろうそこそこの俺のペニスが、ぶるんと飛び出す。
先端は既に期待の汁が出始めて、ぬるぬると光っていた。
「あなたは…ほんとに……」
咎めるような口調のバーナビーの手が、言葉とは裏腹に俺の身体をさっきまで乗っていた袖机の上にぐいと乗せた。尻の下がひんやりとする。
「お前が悪りぃんだもん、俺は我慢しようと思ってたのに…」
立ちあがったバーナビーが俺のペニスとアナルと弄りながら顔や首筋にキスを落としてくる。くすぐったいのといやらしく疼く感覚がまぜこぜで、身体の芯がズクズクとなる。
震える手で俺はバーナビーのジャケットを脱がせると、俺の先走りでぬるぬるになったバーナビーの指が、アナルにクニクニと入り込んできた。
「んぁっ…」
俺は自分でも性急かなと思ったが、かまわずそのままバーナビーのベルトをはずしにかかった。
「虎徹さん?」
いくらなんでも早いと思ったのか、バーナビーが耳元で戸惑いの声をあげたが、手を休めずベルトをはずしズボンをずりおろし大きくなったペニスを下着越しに触った。
「あ…バニーのデカイ…」
「いつも、ここで飲み込んでるくせに」
何を今更と、バーナビーの指が俺の中で折り曲げられて、中を刺激した。
「あっ、んっ」
ああ、これがバーナビーのあの大きくて熱いペニスだったら、頭がおかしくなるほど気持ちいいのにと想像してしまう。

早くバーナビーが欲しかった。

「なぁ、バニー…中に欲しい…お前の…」
下着越しに触っていたバーナビーのペニスを、引っ張り出してじかに触る。大きくて熱くて…たっぷり可愛がってくれるそれ。
「ちゃんとあげますよ、もう少しほぐさないと」
困った人だと呟きながら、バーナビーの指が俺の入り口を広げた。
「ん……これも、だけど…中にお前の……せーえき、欲しい…」
バーナビーのペニスをくちゅくちゅと扱きながら、俺はうっとりと囁いた。
「なっ…」
指を穿ったまま動きを止めたバーナビーが、少し怒ったような顔をする。
「僕をそんなに煽って、何が楽しいんですか」
怒ったのを教えるように長い指が増やされて、激しく後ろを刺激した。乱暴ともいえる動きが、かえって興奮を誘う。
「お前の、中に飲み込んで…今日一日ずっと…お前を感じていたい」
上目使いに見上げて訴えると、後ろを穿っていたバーナビーの指がずるりと引き抜かれた。
「痛いかもしれませんよ」
そういいながら、バーナビーは自分のペニスを掴んで俺の後ろの入り口にあてがっていた。期待で身体がぶるぶると震える。
「痛くても、いいから、早くっ」
俺は自分から入れやすいように机に身体を寝かせて、尻を掴んで大きく開いた。さっきまでバーナビーが弄っていた俺のアナルが、バーナビーに丸見えになっているはずだ。
想像するだけで、そこがひくひくと誘うように動いているのがわかった。
「虎徹さんっ」
ずぷりと先端が入り込んで、入り口がみりみりと軋んだ。
「んっ…バニー、奥まで、突いて…はやくっ」
痛みよりも、辛さよりも、欲しいものがそこにある。俺は自分から腰を揺らし、バーナビーのがもっと奥までくるように促した。
「虎徹さんの、ばか」
その途端、待ちわびていたものが、ぐんと奥まで届いた。
「ああっ、ばにぃ……いっんっ」
俺は、我を忘れてバーナビーにしがみついていた。
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