りりぃのお部屋
□あのコを攻略
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ブロンズステージの一角にある鏑木虎徹のアパート、ロフトの上にあるこじんまりとした寝室は、その夜も熱気に満たされていた
「あっあっバニ…ぃ…」
人前ではいつもおどけたふりや、子供のような無邪気でおおらかさを見せる虎徹が、今は蕩けた表情で甘い喘ぎをひっきりなしに漏らしていた
ベッドの上に押し倒され大きく足を広げられて、本来ならば受け入れることのないところに男の肉棒を咥えこんでいる
のしかかった男は正面から虎徹の秘部に己の雄をねじ込んで、何度も何度も腰を打ちつけていた
もう既に何度も交わった証が、繋がった部分やしなやかな体の上にまき散らされていた
「綺麗ですよ・・・おじさん…」
蹂躙する動きをとめずに、のしかかる男がうっとりと呟く
「はぁっ…ぁん…あ……ばにぃ…ん……」
男の下でしなやかな肢体をくねらせながら、虎徹が切れ切れに喘いだ
既に力の入らなくなった腕を、震えながら男の方へ差し出すと、男はにっこり笑って体を近づけた
「んんぁっ」
繋がるものの角度が変わり、深く強い刺激に虎徹が啼く
体をくねらせながら喘ぐ唇が、怪しく誘っているようで、男は噛み付くように虎徹に口付けた
じゅぷじゅぷ、ぐちゅぐちゅと、繋がった部分が上でも下でも水音をたてる
口付けながら男の興奮が増し、穿つ肉棒をいっそう深く激しく突きたてると、腕の中で虎徹が大きく仰け反った
「はああぁっんっ、だ…め…も…おかし…な…ぅあっふっ」
薄く開いた瞼から覗く琥珀色の瞳はうつろで、もう何も映していないように見える
「おかしく…なって、ください……僕しか、見て…ないから…」
男が答えると、虎徹の蜂蜜をたっぷり溶かしこんだような色の肌は桃色に染まり、全身がびくんびくんと痙攣したかのように震えたかと思うと
「はあう…ぁ…ん」
ひときわ大きく体をしならせて中心から白濁した蜜を噴出した
勢いはあったが、もう何度いかされたのか、色は薄く量も少なかった
男はそれを見ると目を細めて笑い、自らも虎徹の中へ欲を吐き出した
「はあ……」
つながりを解かぬまま虎徹の上に倒れこむと、バーナビーはその顔を虎徹の体に擦り付けた
「やっ…はぁ…ば…くすぐって…ぇ」
大きく胸を上下させて疲れきった様子で横たわる虎徹に、バーナビーが小さな口付けをおとしていく
胸のあたりから鎖骨、顎の下へと口付け、そのまま唇で虎徹の顎を辿って耳元へたどり着いた
「もう…おじさん、気持ちよすぎて全身痺れちゃって…僕、死んじゃうかと思いましたよ」
ふふと怪しく笑うバーナビーに、ばぁかと虎徹が呟く
本当は頭のひとつも張り飛ばしてやりたかったが、疲れすぎていて腕が持ち上がらない
「そりゃ…こっちの台詞だ…はぁ…」
いくらか穏やかになりつつあるが、まだ整わない息で虎徹が言うと、体を摺り寄せていたバーナビーがひょいと体を起こした
虎徹の胸を撫で回しながら顎や鼻の頭にちゅっちゅっと唇をつける
「痺れるほどよかったんですか? 死んじゃうほど??」
翡翠の瞳が虎徹を覗き込んで嬉しそうに問いかけてきて、虎徹はぱっと頬を染める
「ばっ…んなこと言ってない、おじさん言ってないっ、バニーちゃんが激しすぎて死にそうだったってのっ」
怒ったように虎徹がぷいと顔を背けると、懲りないバーナビーは自分のほうに向けられた頬にちゅうと口付けた
「そうですか? でも、とっても気持ちよさそうでしたし…とっても………イヤラシイ顔、してました…」
そのままねっとりと耳を舐ると、虎徹が「あっ」と小さく吐息を漏らして首を竦めた
「ばっ…んな…ぁ」
バーナビーが舌で耳をなぞると、虎徹の体がバーナビーの下でぴくぴくと震える
それと同時に、バーナビーを飲み込んだままのそこもきゅうと締まって、バーナビーがうっと小さく唸った
「なっ」
そのとたん、虎徹がぱっと目を上げて、信じられないものを見るようにバーナビーを見つめる
「嘘だろ?…バニーちゃん…」
虎徹の中で、再びバーナビーのそれに力が漲り、太く硬くなっていく
「……あの…おじさんのイヤラシイ顔…もう一回見たいんですけど」
「やめ…無理っもうっ」
虎徹の切れ切れの抗議も聞かず、まだ繋がっているのをいいことに、バーナビーがぐちゅぐちゅと中を緩くかき回しはじめる
「バニーちゃん、聞いてってば…んぁっ」
「でも…おじさんが……僕のこと欲しいってきゅんきゅん締め付けるんですよ?」
「んなこたしてねぇっ…はっ…ぁぁ」
そうは言ってもバーナビーに動かれれば、虎徹の意思とは関係なしに体は反応してしまう
中をぐちゅぐちゅとかき回され、気持ちのいいところを擦られ、突かれ
虎徹の体は本人の意思とは裏腹に、バーナビーを喜ばせるようにきゅうきゅうと反応を返していた
「あっ…おじさ…ごめんなさい、あと一回だけっ」
切なげに眉を寄せたバーナビーがそう言うと、虎徹の返事も聞かずにそのまま激しく行為に没頭し始める
「はぁあっ…あっあっあ…」
先ほどの快楽もまだ去りきっていない中、再びゆすられ始めた虎徹は、体の奥底からせりあがってくる熱く甘い塊に飲み込まれていくのを感じていた
**
またやってしまった
目ざましの音で起こされたとき、カーテンの向こうから差し込む光で、とっくに朝が来ているのはわかった
起き上がろうとするが体が重くてなかなか言うことをきかない
部屋には自分ひとりで、枕元に朝食が準備してある旨のメモが一枚置いてあった
筆跡は、夕べさんざん虎徹を泣かせた男のものだった
「…つぅ…」
なんとか半身を起こしてみるものの、腰から下は鉛でも詰まっているのではないかと思うくらい重い
見回せば、夕べあれだけ乱れたにもかかわらず、部屋の中もベッドの上も自分の体も、何事もなかったかのように綺麗になっている
行為の最中はさんざん好き勝手しているくせに、こういう事にはきっちり気を使っているバーナビーが、虎徹には可愛くもあり、少し恨めしくもあった
その当のバーナビーはといえば、とっくに起きだして一旦自宅へ戻り会社へ行ったのだろう
頭の上にあった目ざましは、出勤前に虎徹がシャワーを浴びて朝食をとるだけの時間の余裕をもってセットされていた
虎徹はさっさと起きなければと、重い体を引きずってベッドから出ると、なんとかバスルームまで辿り着く
シャワーのコックを捻り熱い湯を頭から浴びながら、虎徹の口からは無意識に溜息が漏れていた
最近、バーナビーの要求に応えきれないことが多い
ここのところ、いろいろとお互い忙しかったこともあり、体を重ねる回数が減っていた
そのせいかどうなのかわからないが、バーナビーの行為は激しく、一晩にする回数が多くなっている気がする
直近の何夜かを振り返ってみても、虎徹は最後まで意識を保っていられたことがないのだ
いつも、気がつけば朝になっている
最初のうちこそバーナビーに文句も言っていたが、ここのところあまり強く言えなくなっている自分に、虎徹は気がついていた
自分は疲労困憊で、満足どころの騒ぎではないが
バーナビーは…
果たして満足できているのだろうか
自分が途中で意識を飛ばしてしまうせいで、バーナビーは欲求をすべて出し切れていないのではないか
それは、こういった関係を持つ相手としてはどうなのだろうと思ってしまう
ヒーローという職業柄、トレーニングをさぼっていると怒られているとはいえ、一般人よりよほど鍛えている
体力には自信があると思っていたが、やはり今が盛りのバーナビーの若さとは比べられないということか
そう思ってしまい、虎徹は自然、深い溜息をつくようになっていた