りりぃのお部屋

□大人の責任
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「なぁなぁなぁなぁバニーちゃん、なぁって……ぶっ」



その日、仕事を終えた虎徹が鼻歌交じりにロッカールームへ行き、着替えてまさに帰宅しようとしたその時だった

ロッカーをぱたんと閉めたその手首を、後ろからがしりと握られた

握ってきたその手は、もしかしたら虎徹には自分の手以上によく見知った手

指が長くて細くてしなやかで、パーツ一つだけなのに妙な色気を感じさせる手

「…なに?バニーちゃん?」

手の主に声をかけ、虎徹が振り返ろうとした時には、ものすごい勢いで引っぱられて歩きだしていた

「お、おい?」

足をもつれさせながらも虎徹が慌ててついていくと、そのままバーナビーの家まで連れて行かれ、ベッドルームへ入れられ、ベッドへ放り投げられ…



今に至る



その間、虎徹がいくら何を問おうとも一言もしゃべらず、虎徹のほうを見ようともしなかったバーナビーが、ここにきて初めてじっと虎徹を見つめてきた

凍るような冷たい視線と思いきや、それは火傷しそうな熱をはらんでベッドの上の虎徹を捕らえる

「えと…怒ってる……のか、な?」

あははと渇いた笑い声を出す虎徹の頬が、思わずひきつる

応えずにじっと見つめながら、上着を脱いだバーナビーに、虎徹が焦ってベッドの上で後ずさった

「あー…あのよ、怒ってんのって………どの件かなー?…なんて…」

とりあえず謝らなければとは思うが、怒られる原因に心当たりがありすぎる

虎徹はさらに怒らせるのを覚悟で、頬をぽりぽりと掻きながらバーナビーに尋ねた

「あたなが怒られる原因なら、たくさんありすぎて僕にももうよくわかりません」

忌々しそうに言いながら、若い相棒は虎徹にのしかかって押し倒してきた

「な…なあ、落ち着こうぜ?相棒」

言いながら、虎徹の頭の中はここ最近あった自分の失敗を反芻していた



また、ものを壊して賠償金が増えた

また、寸前のところでライバルにいいところを持っていかれて思うようにポイントが入らなかった

また、バーナビーの私生活に立ち入って食生活なんぞを、くどくどと煩くおせっかいした

また、トレーニングをサボってそのうえトレーニング中のバーナビーの邪魔をした

また、ハンバーガーをつぶした時にソースが飛んで、バーナビーの服を汚した

それから

それから…

なにがあっただろう?



怒らせたり不機嫌な顔をさせたことを細かく取り上げれば、それこそ星の数ほどある

一体、決定的に怒らせてしまったのはどれなんだろうと虎徹が考えていると、虎徹に馬乗りになってきたバーナビーにネクタイをむしり取られ服のボタンを乱暴にはずされる

破られなかっただけましかと思いかけて、虎徹ははっとした

自分のあらぬところに、バーナビーのあらぬものがあたっている

虎徹はごくりと唾を飲み込むと、ひきつった笑顔を目の前の男に向けた

「えっとさ、バニーちゃん? なんで怒ってるのに……勃ってんの?」

虎徹が、馬乗りのバーナビーの下からなんとか位置だけでもずらそうともぞもぞ動くが、勿論ぴくりとも動かない

「………ここのところ帰りが遅くなっちゃってたのは誰のせいですかね」

虎徹の抵抗に、もともと尾が切れていた堪忍袋が爆発したのか、バーナビーがゆらりと顔を起こす

細められた目から放たれる視線は、怒りの炎で真っ赤に染まっているように見えるのに、ブルーローズの氷以上の冷たさを感じさせた

「出動の合間に毎日毎日おじさんの尻ぬぐいにまで時間とられて、まともな時間に帰れなかったんですよね」

恐ろしいほどの怒りが感じられるのに、虎徹の服にかかっている手は冷静で、着実に服のボタンをはずし上半身を露わにさせると、今度はカチャカチャと金属音を響かせ始める

「あ、えっと、だからそれは…バニーちゃん、ちょっとまって」

「報告書も一人でまともに書けないのに、始末書も増える一方だし」

カチャカチャという音と共に、虎徹のベルトがはずされて下肢がくつろげられる

まずいと思っていると再び金属音が響き、虎徹が今度はなんだと頭だけ起き上らせると、バーナビーのしなやかな手が続けて自分のベルトをはずしにかかっていた

「ちょっタンマ、バニーちゃんってば、おいっバーナビー!!」

慌てて虎徹がバーナビーの手を掴んで止めようとするが、構わずバーナビーのしなやかな指は動き続けベルトを外してしまう

「なんですかおじさん、煩いですよ? 言っときますけどおじさんに拒否権なんてないんですから」

自らのズボンの前をくつろげると、バーナビーは一旦手を止め虎徹の肩を掴んで起き上りかけた虎徹の体を再びベッドへ沈ませた

「わかってるんですか、おじさん? おじさんのせいで……」

そのまま、バーナビーの手が降りてきて、寝転がったままの虎徹のズボンのウエスト部分を鷲掴みして

「おじさんのせいでっ! おじさんともう10日もSEXできなかったんですよっ?!」

叫ぶと同時に、バーナビーの手が勢いよく虎徹の足からズボンを引き抜いていた

「ぐえっ」

一瞬、宙に浮いた虎徹はすぐまた柔らかいベッドへ投げだされる

ぼふんと再びベッドに沈み込んだところではっとして目を開けると、目の前には欲を滲ませた雄の獣の眼をしたバーナビーがいた

「ぇ……バニーちゃん、もしかして…怒ってるのって……それ?」

「他に何があるっていうんですか?」

間近でそう言った唇がせまってきて、虎徹のそれにちゅっと音をたてて触れる

「今更おじさんの始末書の多さになんか驚きませんし、おじさんの愚行にいちいち目くじら立ててたらパートナーなんてやってられません」

「愚行って…お前ね……」

眉間に皺を寄せ、不貞腐れたように虎徹が口を尖らせると、虎徹の上でバーナビーがくすりと笑った

「明日のお仕事は、出動要請以外僕がやりますし、トレーニングもさぼっていいですよ」

虎徹の頬に唇を寄せながら、バーナビーが囁くと、虎徹がくすぐったそうに身を捩った

「な…んか、代償が大きそうなんだけど…」

熱を帯びた掌が、虎徹の体を這いまわる

「どうってことないですよ、ちょっと…僕の気が済むまで付き合ってくれればいいだけですから」

「………やっぱ、すげー代償でかそう」

一瞬、ひきつった笑みを見せた虎徹は、少し考えてから大きくため息を吐いた

虎徹の上のバーナビーが、一瞬困った顔をすると、虎徹はくくっと笑ってバーナビーを引き寄せた

「しょうがねぇな」

引き寄せたバーナビーの整った唇に自ら口づけ、少し開いた隙間から舌をねろりとすべりこませる

「んっ」

すぐにバーナビーが差し込まれた虎徹の舌を絡め取ると、もう主導権は虎徹にはなくなってしまう

虎徹は、バーナビーの甘い舌に翻弄されながら




どんなに忙しくても最低2日に1回はヌイてやらないとダメかなぁ




そう、心の中でそっと呟いた


-END-

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