短編
□ある日の満足同盟
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「うおぁああ!!」
外の日も落ち始めて暗くなり始めた頃、突然耳をつんざくような鬼柳の悲鳴が聞こえた。
驚いた俺は何事かと思い子供達とトランプをして遊んでいた手を止めて急いで鬼柳の声が聞こえた部屋へと向かった。
ここサテライトでは変な奴らが沢山いるため朝昼晩常に周りを警戒しなければならない。だから悲鳴を聞いた時俺は俺達のアジトに誰かが侵入してきたのかと思った。
「鬼柳どうした!?何かあったのか!?ってあれ…」
だが、ドアを開けてみて部屋の中を見渡してみた所、誰もいない。鬼柳もだ。
部屋間違えか?と部屋を出ようとした時、微かにだが呻き声が聞こえた。
それに気付いて中に入ると壁とベッドの隙間から水色の髪が見えた。
あ〜成る程そこにいたのか。道理で気が付かないはずだ。
そう呑気に思っているとまた呻き声が聞こえた。
一瞬鬼柳の事を忘れてた俺は駆け足でそこへ向かう。
「鬼柳!大丈夫か!?」
「うぅ…クロウ!助けてくれ!」
そう俺に助けを求める鬼柳は外傷はみられなかったが異常なほど顔が真っ青だ。きっと何か大変な事に遭ったに違いない。
「落ち着け鬼柳!」
「出たんだ…!」
「出た?何の事だ…」
「ヤツに決まって…うわぁ!!クロウあそこ!!!」
鬼柳の言ってる『ヤツ』の意味も分からぬまま、指差す方向へ首を回してみると一瞬黒いものが通るのが見えた。
まさか…
「おい鬼柳、ヤツってまさかゴキ…」
「言うな!!!」
『ヤツ』の正体を言おうとした所、物凄い顔で止められた。
「その名を口にするな!名を聞くだけでも悍ましい!!」
よっぽどGが嫌いらしい。
まぁ俺も嫌いだけどさ。
「はぁ〜…」
なんだか一気に気が緩んだ。なんていうか危ない目に遭っているのかと思えばすごく下らなかったし、鬼柳も情けなく見えた。
「帰る」
呆れた俺はくるりと踵を返して部屋を出ようとした…が
「待てクロウ!俺を見捨てる気か!?」
腕を捕まれ動けなくなった。
「離せ!Gなんかお前で始末しろ!」
「あぁ!?できないからお前に頼んでるんだろーがぁ!!」
始末できないのは自分のせいなのに何故か逆ギレされた。
しかも腕を振り払おうにも物凄い力で掴んでいるため振り払えない。