落乱
□ミントカラーの奇跡
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周りは私達の事を不運だと言う。
それは此処に居る誰もが認めている事。
でも、私は思うのだ。
「良かった。今日は無事に薬箱の点検が終わった!」
いつもひっくり返す薬箱が、今日は何ともなかった。
「伊作先輩!コッチも何も問題無く終わりました〜」
トイペの補充で一回も落とし穴に嵌まらなかった。
「うん、乱太郎ご苦労様。名無しさんは大丈夫だった?」
「私もお茶とお菓子、零さなかったよ。今日は幸せな日だね」
他人からすれば『そんなの普通だろ』と笑われる事。
でも、たったそれだけで保険委員は皆が笑顔になるのだ。
「本当だ。名無しさんの言う通り今日は幸せな日なのかもね?」
お互いにはにかむ。
後輩達も笑顔でお茶を飲んでいる。
周りは私達の事を不運だと言う。
それは此処に居る誰もが認めている事。
でも、私は思うのだ。
こんな些細な事でも幸せを感じれる私達は
「お団子、おいしいね」
「うん。伊作達と食べられたから、倍美味しい。」
今この学園の何処よりも一番幸せなんだと。
ミントカラーの奇跡
名無しさん、また二人で一緒にお団子買いにいこう、と伊作は後輩に気づかれないように私の手を握る。それだけで私は幸せな気分になるのだった。