素晴らしき光

□君の騎士
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彼女は、大きな秘密を持っている。

1つは、チェインでもなければ人間でもない。不完全な存在であること。

もう1つは、グレン・バスカヴィルの魂の秘密を知っていること。


2つ目の秘密があるために、バスカヴィルの民が度々襲ってくる。

だから、いつも俺かオズ。もしくはバカウサギが傍にいた。


だけど、その日は誰も傍にいなかった。


ああ、雨が降っている。


「ぎ…る…?」

「…っ!!…すまなかった!!」


そこにいたのは、傷だらけの彼方だった。

どうして、彼方を1人にしてしまったのだろう。


お前を泣かせないと。

お前に怖い思いをさせないと。

お前を、守ると。


約束したはずなのに。


俺は、お前を守る騎士になりたかった。


だけど、今ここにいるのは、

泣いている、彼方だろう?


”すまなかった!!…今度は必ず守るから。”


何度この言葉を口にして、

何度、この約束という紙を破ってきただろう。


我侭だということは、俺が一番わかっている。


だが、俺にもう1度だけ。

もう1度だけ…チャンスをくれないか…?


今度こそ、”嘘”を”本当”にしてみせるから。


次は、必ず守ってみせる。

俺の命に代えてでも…


そして、彼方の騎士になる。


「絶対に、守ってみせる…!」


ふわり


彼方を抱きしめて、額に口付けた。

俺の、誓いの口付けを…





守ろう、君の騎士として。


(次こそは、絶対に守る。)

(君がいれば、怖くない。)
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