金銀小説
□おかえり
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(本当この子も意地っ張りだね)
心の中で微笑む
(でも……)
「もし銃殺になったとしても、オレはもう一度会いたいんだ」
再び片付ける手を休めて近くにあったミネラルウォーターを一口飲んだ
ゴクリ…とノドを流れる水がやたらと冷たく感じる
「オレは、ザフトを裏切ってここに残った事を後悔した事は無い。ただ…あいつを残して来たこと…後悔してるんだ…」
「あいつはさ…意地っ張りでワガママで、負けず嫌いで………でも……
すごく弱い」
瞼を閉じると思い出すのは最後の通信の泣き出しそうなあいつの顔
ぎゅっとミネラルウォーターの入ったペットボトルを握りしめる
「あいつを裏切って、それでも戻りたいって虫のイイ話だし、今さら恋人との幸せな未来なんて望んでなんていないし、望む資格なんて無いと思ってるけどね」
オレはミリアリアの方に顔を向け、苦笑いをした
幸せな未来を望むには多くの命を失いすぎた
あいつもオレも……
「ふーん…」
相変わらず素っ気ない返事が返ってくる
「イイんじゃない…それで」
「え?」
「だって、せっかくあんたもそのコイビトも生きて戦争が終わったんだもの…後悔しない人生を生きないともったいないわ」
「ミリィ…」
凛とした眼差しの彼女は真っ直ぐにオレを見ている
「ありがと…」
彼女の存在に何度救われた事か…
感謝しきれない
「それに、私ももうすぐここを出ていくつもりだしね」
「オーブの実家に戻るの?」