金銀小説

□変わらぬ未来
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「ここか…」



オレは1人大きな門の前に佇んで、建物を見上げた
純日本家屋の造りの一軒家だ


ディアッカが件の日舞教室に通う事になって本日が初登校になる


ディアッカは仕事が終りそのまま向かった
「師匠がイザークにも会いたいって言ってたよ」


そう言われ、オレも仕事を片付けて1人日舞教室に来ていた


「何だか懐かしいな…」


門をくぐり、松や灯籠のある日本庭園の庭を抜けると……


「やぁ…イザーク久しぶりだね」

柔らかな声が聞こえた

「師匠…!お久しぶりです」

そこには、着物を纏い、黒く艶やかな髪を肩まで伸ばし、背筋をピンと伸ばした師匠が立っていた

イザークは頭を下げ、久しぶりの再会を喜んだ


幼い頃…ディアッカの舞う日舞を見るために自分自身何度となくこの師匠の元に通った


「イザークも興味あるならやる?」


と、師匠から誘われたが…「ディの舞ってる姿を見るのが好きだからやらない」

と、断った

それからも、オレは何をするわけでなく、日舞を見にこの師匠の元を尋ね、ディアッカの舞いを見た

時にはその日舞教室の傍らで本を読んだり居眠りをしたり…

師匠はそんなオレをいつも笑って受け入れてくれていた

「2人はザフトに入っても変わらないね」

昔を思い出していたオレに師匠は突然声をかけた


「相変わらず、仲が良くて安心したよ」

師匠は柔らかく微笑んだ

「べっ!!別に仲が良い訳ではありません!!あいつとは…腐れ縁で…」

顔が熱くなるのを感じながら、少しムキになって叫んでしまった


「あれ?でもディアッカがさっき一緒に住んでるって…」


「………うっ…」

ディアッカの野郎…余計な事を…


オレは後でディアッカを殴り飛ばす決意を固める


「やっ…ただ…部屋をシェアした方が通勤にも便利だし…家賃も安く…」

「ハハハ面白いな〜イザークは」


どんどんとシドロモドロで言い訳めいた言い方になるオレは体温が上がっていく

師匠は高らかに笑い飛ばした


「さっ…ディアッカが中にいるから、入ろうか」


「…………はい…」
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