金銀小説
□永久
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━━━━━━体がフワリと浮かび上がる━━━
━━━真っ白な霧の中に迷い込んだ様だ━━
「……ここは……何処………だ」
━━━━━真っ白な真っ白な世界に声が響く━━━━
「イザーク……ここだよ…」
━━━優しい声が空間に広がる━━━
「……ディ?……いるのか?」
「うん……ここだよ……ここにいるよ」
━━━声が鮮明になると同時にキラキラと光が舞い……懐かしい……けれども、ずっと側にいた筈のディアッカが立っていた━━━━
「イザーク…」
「ディアッカ…か…久しぶりだな」
「4年ぶり?」
「………あぁ…もう…そんなになるのか……だとしたら…オレは死んだのか?」
「………うん…もうすぐね…」
ディアッカは少し困った顔をしながらも笑った
「そうか……」
イザークは瞳を伏せて納得した
「迎えに来てくれたのか?」
「そうだよ…イザーク1人だと、どこ行くか分からないもんね」
「フン……悪かったな方向音痴で」
ディアッカがクスクス笑った
「それにしても、どうしてこんな姿なんだ?……これどう見ても20くらいの頃だろ?」
「ん〜死んだ時の年齢が霊体の姿になるワケじゃ無いみたいだよ…その人間の魂が一番輝いてた頃の姿になるみたい」
「ふぅ〜ん」
イザークは皺の無い真っ白な自らの手をマジマジと眺めた
「変なん感じだな…80を超えたのに…またこんな姿に戻るなんて…ディアッカも…」
「そうだね…ずっとイザークの側にいたけど…俺は若い頃の姿で……イザークはおじいちゃんだったから……不思議だね」
「フン…お前が約束を破って先に死ぬからだろうが……」
「……ごめん……」
「そのお陰でせっかく優雅に1人隠居生活を送ろうと思っていたのに、評議会や軍の相談役になって毎日大変だったんだぞ……」
「でも…楽しそうだった」
ディアッカが穏やかに笑いかける
「やっぱりイザークは仕事してる時が一番生き生きしてるね」
「………貴様の最後の望みだったから……」
イザークはディアッカの久しぶりに見るアメジストの瞳をじっと見ながらポツリと呟いた
「……そうだね…ありがと」
ディアッカはスッとイザークの腕を引くと、しっかりと抱き締めた