金銀小説
□June bride
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歩んだ道は決して平坦なものではなかった
悩んだ事も苦しんだ事、悩んだ事もあった
だからこそ…
共に歩むなら、お互いを想い合う相手しかいないと…お前しかいないと信じてる
さぁ…永遠の愛を誓おう
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都会の喧騒を離れ、木々の木漏れ日が暖かく降り注ぐ森林を抜けると小さな教会が姿を現す
まるでおとぎ話に出てくる様な可愛らしい教会
イザークの手を取り、ディアッカはゆっくりと木の扉を開け中へ入った
ステンドグラスが輝き、2人を祭壇の前へと導いている
誰もいない教会は、しん…と静まり2人の足音だけが響いている
金に光る十字架の前まで来た2人は向かいあって立ち止まった
ディアッカはイザークの指先をキュッと握り締めた
「何だか……緊張する…」
ディアッカがへへへ…と照れ臭そうに笑う
「………オレも…」
イザークは瞳を伏せて静かに笑った
教会は静寂な空気に包まれている
握った指先から互いの体温が伝わり、心音が交わる
ディアッカが息を吐き出し、呼吸を整えた
「じゃ……オレから…」
「あぁ…」
ゆっくりと…ディアッカは言葉を紡ぐ
「私…ディアッカ・エルスマンは……イザーク・ジュールを生涯の伴侶とし……健やかなる時も……病める時も…死ぬまで…」
「死んだら…終わりか?」
「…死して尚、この魂が朽ち果てるまで、永遠にイザークを愛し続け……側にいる事を誓います」
ディアッカはイザークに微笑んだ
「次…イザークだよ」
「わかってる………」
イザークは恥ずかしそに瞳を揺らしたが、小さく口を開けた
「……私………イザーク…ジュールは……ディアッカ・エルスマンを……生涯の伴侶とし……健やかなる時も…病める時も…あ……あぃ…愛し続ける……事を誓います…だから!!」
「え?」
「オレより先に逝くなんて許さないし、オレを1人にするなんて許さない!!お前はオレの横にいればいいんだ!……だから…死ぬ時も…一緒だからな!」
イザークの真っ直ぐな瞳はディアッカだけを見つめる
「うん!」
ディアッカは満面の笑みで頷いた
イザークは顔を真っ赤にして、俯いてしまった
2人は誓いの言葉を交わすと、ディアッカはジャケットのポケットから小箱を取り出した
中には、繊細な彫刻が施されたペアの指輪が収まっている
「イザーク…指…」
「……ん…」
さっきまでの勢いは無く、イザークはそっと左手を差し出した