金銀小説
□Bonne Anniversaire Dearka〜暖かな陽射し〜
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ポカポカと暖かな陽射しが室内に降り注ぐ
カーテンから漏れるその光が眩しくてオレは目を覚ました
横を見ると、まだ気持ち良さそうに眠る見慣れた顔
さらさらと流れる銀の髪
長く扇状に広がるまつ毛
オレとは対照的な真っ白で極め細やかな肌
ピンク色に薄く色付く唇
身長はほとんど変わらない筈なのに、オレの腕の中にスッポリと収まるその体をオレは抱き寄せた
「イザーク…」
オレは起こさない様に小さく小さく…名前を呼んだ
「………ん…」
一瞬イザークは身を捩ったが、直ぐに穏やかに寝息をたてる
オレはホッとした
(………ゆっくり寝てね)
プラントの中でもトップクラスの資産家家庭ジュール家に生まれ、生まれながらに将来を嘱望され、本人もそれに答える様に成長していった
戦禍に身を投じた時も常にエリートコースを歩み
最年少で隊長になり、ラクス・クラインの補佐役を勤めた
(…………で…次は最年少で議長に就任?)
程無くして世界が平和になるとラクスは議会を離れた
そうして持ち上がったイザークの新議長候補
(……あんまり、無理して欲しくないんだけど……な)
きっとイザークの事だ…
プラントの為、コーディネイターの為、平和の為に…職務を全うするだろう
きっと素晴らしい議長になると思う
(………でも本当…)
本当は
普通の家庭に生まれて
普通の学生生活を過ごして
普通にイザークと恋をして
そんな関係に憧れる
(なんて…言ったら…「この腰抜け!!!」って怒られるよね)
オレはイザークの髪を撫でる