金銀小説
□熱帯夜
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「暑い……」
イザークの不機嫌な声が室内に響く
「暑い…」
深夜…イザークはその傍らで寝ていたディアッカを片足でコツンと蹴り上げる
「ハイハイ…」
ディアッカは苦笑いをしてベットサイドに置かれたうちわを手に取り
パタパタと柔らかな風を紡ぎだす
しかし、そんなディアッカの努力のかい無く………
「暑い…」
イザークは更に不機嫌になる
数日前、イザーク率いるジュール隊は地球に降りた
地球の日本という小さな島国
その国は小さいながらも経済、商業、文化、科学、多方面に優れ、今回はその視察団として一週間の予定の訪問だった
何の問題も無く無事に終わる…誰もがそう思っていたが
「電気系統のトラブル」
によって、ボルテール内は騒然となる
辛うじて、メインシステムは復旧したが…
空調や照明等に一部復旧が間に合わず、冷房装置が全てダウンしたのだ…
とりあえず隊員には地上のホテルを手配したが…
さすがに、隊長であるイザークは艦に残る選択を選び、もれなくディアッカも艦に残ったのだが
「暑い…」
2人は暑さで寝付けずにいた
「地球温暖化が問題になってるらしいよ〜」
ディアッカが困った顔をした
「温暖化?灼熱化だろ…」
「ハハ…確かに…」
尚もパタパタとうちわを扇ぐが汗が止まることは無く不快感は最高潮である
あまりの暑さにふだん必ず服を身に付けて眠るイザークが、上半身裸で短パンのみの姿で寝ていた
その艶かしい姿にディアッカは欲情したが…イザークから
「暑苦しい…邪魔だ…」
と、血気迫る勢いと…低音ボイスで罵られ拒絶され触れられずにいた
一緒のベットに寝ることすら拒否されたが…
「離れて寝ること」
「うちわで扇ぐこと」
を条件に同じベットに入ることを許された